132.その後

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アトリエでは小さい頃から通って来ている人が少なくない。
小学校2年生くらいで通うようになり、今は大学生。。
というひともめずらしくはない。
もちろん数年でアトリエを卒業するひともいるけれど、
大人のひとも、ちびっこも、基本的には通い始めると長い。
やめるパターンとしては、ちびっ子は受験がからむ卒業が多い。

はじめに出会った時の印象がいつまでも尾を引くので、
「あのときのあのちびっ子」が受験デッサンをするようになったり、
大学生になって手伝いにきてくれたりするのは嬉しいやらびっくりするやらだ。
これだけはいつまで経っても慣れることができなくて、
毎回感心してしまっている。

つい先日、受験のためにアトリエを卒業した男の子が
夏休みということでアトリエに遊びに来た。
毎週同じ曜日に通うのがアトリエの本来の通い方なのだが、
そのひとはアトリエをすっぱり止めてしまうのではなくて、
時間が出来たときにちょっとでも制作に来たい、という事で、
不定期の単発で制作することになったのだ。

「おお~はるわ!良く来たねえ」
「今日はお母さんに送ってもらってきた」

久しぶりなので少し照れるのか、
眩しいような目の細め方をするはるわくんと私は、
お互いにやにやと笑いあった。

アトリエを卒業する日に、はるわくんが
「あのさ‥アトリエやめても、たまに遊びに来ていい?」
と涙目でうつむいて言ったことを
二人とも思い出したのだと思う。

「塾はどう」
「最初は大変だったけど、今は慣れた」

そんなやり取りはほんの少しで、あとは制作の話ばかりだ。

今日はレアキャラのはるわが来たから、
みんなでいっしょのもの作りたいね、と話し合った末、
小学校2年生のみき君が「すごろくとか作ればいいんじゃない」と提案してくれた。

大きな紙を皆で囲んですごろくを作るのは楽しくて、

「ここ!ここにはまると抜けられない地獄をつくった」
「ここはね空港!飛行機で一気に5個すすむ」等々
いつもの3倍くらいの賑やかさで制作が進んだ。

よもやま話をしながら各自がアイデアを絵と文にしていくのは
思いのほか楽しくて、皆ギリギリまで制作を続けた。

制作する時間を地道に重ねることで、はじめて可能になることというのは結構ある。

単発だと気晴らしがメインになってしまうことをひそかに心配していたのだけれど、
大きな声で楽しそうに周囲とやり取りしているはるわくんの様子をみていると、
昔なじみが沢山いる空間で制作しながらホッとするだけでも
すごくいいのだな、と思った。

いつもみんなでする後片付けもしっかりやって、
汗びっしょりになるまで昔なじみとじゃれ合ったあと、
玄関先で「次来れるのは冬休みかなあ。。。。。。」
とつぶやくはるわくんに「いつでもおいで」と声をかけて見送った。