昔から考え事をしていると他の事がおろそかになることが多くて、
小さい頃は「あんたはちょっとだけ地面から浮いていた」と言われていた。
考える、といっても何か難しいことを考えているのではない。
むしろ妄想に近いくだらないことばかりを考えていたように思う。
以前にもコラムに描いたけれど、タオルケットにくるまって、
毎夜「洞窟に住む小人の話」を自分でねつ造しては大興奮いたし、
飼っていたセキセイインコとは努力すれば
話せるようになるんじゃないかと思っていた。
(小鳥とお話できるといいな)だったらまだ夢があってかわいらしいが、
真剣に話そうと努力していたのだから救いがたい。
想像ではなく妄想である。
妄想癖は夜だけに留まらず、ほぼ24時間態勢で発動していた。
早朝の町の遠鳴りは「地球が回る音」だと思っていたし、
強い風は地球の呼吸だと思っていた。
おそらく自分が暮らしている場所をお話風にして、
気持ち的に納得出来るように捉えたかったのかもしれない。
最近再び考え事をする機会があって、
それはまだ継続中なのだけれど、久々に全力で考え事をすると
予想以上にうわの空になることが分かってちょっと困っている。
今まで決してなくさなかったものや落とさなかったものを
どんどん落として行くのだ。
わずか10日間の間にオートバイの鍵を落とし、
大事な書類一締めをまるまる置き忘れ、
携帯電話を講師先の学校に置き去りにし、
トイレには鍵束を置き忘れた。
結局オートバイの鍵以外は、
数時間から数週間のタイムラグを経てすべて見つかったから
よかったようなものの、今回の忘れ物は本当にひどかった。
一番大きな被害を被ったのは夫である。
せっかく仕事が早く終わって帰宅しても、
連日出迎えるのは「○○なくした!いっじょにざがじでくだざい~。。。」
と泣きつく妻なのだ。可哀想なことこの上ない。
忘れ物騒動が落ち着いたある朝、
主人が笑いながら「夢を見たよ」と言った。
なんの夢?と尋ねると、「由樹子(私の名前)が
トイレ掃除の時に便器をどこかに置き忘れて、
そのせいで僕が漏らしてしまって『なんで便器忘れてきちゃうんだよ!』
って怒る夢をみた」とのこと。
夢にまで追いかけてくる、妻の落とし物の恐怖。
お世話をおかけしてほんとにすみません。。。。。
と、深々と反省した一件だった。