131.うわのそら

137

昔から考え事をしていると他の事がおろそかになることが多くて、
小さい頃は「あんたはちょっとだけ地面から浮いていた」と言われていた。
考える、といっても何か難しいことを考えているのではない。
むしろ妄想に近いくだらないことばかりを考えていたように思う。

以前にもコラムに描いたけれど、タオルケットにくるまって、
毎夜「洞窟に住む小人の話」を自分でねつ造しては大興奮いたし、
飼っていたセキセイインコとは努力すれば
話せるようになるんじゃないかと思っていた。
(小鳥とお話できるといいな)だったらまだ夢があってかわいらしいが、
真剣に話そうと努力していたのだから救いがたい。
想像ではなく妄想である。

妄想癖は夜だけに留まらず、ほぼ24時間態勢で発動していた。
早朝の町の遠鳴りは「地球が回る音」だと思っていたし、
強い風は地球の呼吸だと思っていた。
おそらく自分が暮らしている場所をお話風にして、
気持ち的に納得出来るように捉えたかったのかもしれない。

最近再び考え事をする機会があって、
それはまだ継続中なのだけれど、久々に全力で考え事をすると
予想以上にうわの空になることが分かってちょっと困っている。

今まで決してなくさなかったものや落とさなかったものを
どんどん落として行くのだ。

わずか10日間の間にオートバイの鍵を落とし、
大事な書類一締めをまるまる置き忘れ、
携帯電話を講師先の学校に置き去りにし、
トイレには鍵束を置き忘れた。

結局オートバイの鍵以外は、
数時間から数週間のタイムラグを経てすべて見つかったから
よかったようなものの、今回の忘れ物は本当にひどかった。

一番大きな被害を被ったのは夫である。
せっかく仕事が早く終わって帰宅しても、
連日出迎えるのは「○○なくした!いっじょにざがじでくだざい~。。。」
と泣きつく妻なのだ。可哀想なことこの上ない。

忘れ物騒動が落ち着いたある朝、
主人が笑いながら「夢を見たよ」と言った。

なんの夢?と尋ねると、「由樹子(私の名前)が
トイレ掃除の時に便器をどこかに置き忘れて、
そのせいで僕が漏らしてしまって『なんで便器忘れてきちゃうんだよ!』
って怒る夢をみた」とのこと。

夢にまで追いかけてくる、妻の落とし物の恐怖。

お世話をおかけしてほんとにすみません。。。。。

と、深々と反省した一件だった。