117. きよしの夜

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ちびっこと制作していると、制作そのものが楽しいということはもちろんで、
加えて会話がものすごく面白い、ということがままある。

話してくれる内容はさまざまだけれど、
ああ、よそゆきでない状態でリラックスして制作してくれているのかな
と思うことはけっこうあって嬉しい。

先日、小学2年生の男の子と一緒に制作をしていたときもそうだった。

男の子は木で作品をつくるためにのこぎりを使っていた。
のこぎりをひきながら気分が良くなったのか、
「♪き~いよし~、こ~のよ~る~♪」と鼻歌を歌いだした。

ご存知クリスマスの「聖しこの夜」のメロディーだ。

(・・・2月になぜクリスマス?)と思い、なぜその歌なのかと聞いたところ、
意外な答えが返ってきた。

「だって、おれのハムスターの歌だもん」

「?」

「おれのハムスター、きよしっていうんだ」

「??」

そう言うと、彼はまた「♪き~いよし~♪」と歌いだした。

・・・「きよし」の夜なのか!!

どうやら彼は、この歌を「きよし」を全面的にプッシュしている歌だと認識していたようだ。

「あの。。。これ聖なる夜、っていうイメージの歌でね。たぶんきよしの歌じゃないと思うんですよ」
「?!」
「きよしは名前じゃなくて、聖なる、の言い方がちがうやつなんだよ。きよい心、とかいうでしょ」
「・・・・ええー!!そうなの?!」

ショックを受けたのか、彼はしばらくのこぎりをひく手を止めて下を向いていたが、
顔をあげるとにっこりして、こう言った。

「でもいいや。おれにとっては、これはきよしのテーマソングだからさ。
世の中では、ちがうんだってわかったけど、
おれにとってはきよしの歌なんだからいいの」

年齢にしては達観した感想だな、と思ったけれど、なんだかそういう考え方、すごくいいなあ!
と嬉しくなってしまった日だった。

*****

別の曜日で「家出したことがあるか」という話になった時も面白かった。

「おれは家出っていうか、出されたことある」
「家出されかよ」
「出るときギリギリおこづかいひっつかんでさ、
とりあえずコンビニ行ってお菓子買って、公園で時間つぶして、
超悩んで夜中の1時半くらいに帰った。ポケットにお菓子あるのが見つかって、また怒られた」

「おれなんか、家出なんてしょっちゅうだぜ!」

「えー、すげえなあ」

「大体7時くらいに帰るようにしているんだけどさ(ちょっと得意げに)」

いや、それは家出じゃないかもしれないぞ。

と思ったけれど、黙っていた。