109. 大雪の日

109
東京で、十何年ぶりかといわれる大雪が降った。

その日は朝から雪だったけれど、とにかくアトリエは開けておこうと思った。

「振り替えはできますので、どうぞお休みくださいね」とホームページとFBでお伝えし、
こつこつとオープニング作業をした。

雪で帰れなくなったりすると困るので、
土曜日のスタッフの宇都宮先生と深谷先生にはお休みしてもらった。

土曜日はいつも、基本的に一人で開講準備(オープニング)をするので、
いつもと同じようにお茶を入れ、植物の水を替え、2階や廊下と制作部屋の掃除をし、
トイレ掃除をし、雪かきをし。。。と過ごした。

雪のせいか、いつもより周囲が静かで、気持ちがよかった。
ほとんどの方はお休みだとは思ったけれど、
休講にしなかったのは、ごく近所にお住まいの方もいらっしゃることと、
休講に気がつかず、何かの拍子でいらした方が、雪の中立ち尽くすのではなあ。。。と思ったからだ。

アトリエの建物そのものが気になったのもある。

予想通り朝からお休みは相次ぎ、
お車でいらっしゃるお家には道路が悪路の旨を連絡したりで午前は終わった。

アトリエの制作部屋は、壁面一つがガラスサッシの連続でパノラマのように
庭の風景を眺めることができる。
ひとりでお弁当を食べながら、
この雪景色は得がたいなあ。。。。とほっこりしてしまった。
午後も全員お休みだったので、 また20センチほどつもった雪を除雪して、
集まり過ぎた雪でかまくらとゆきだるまを作った。

あまりに誰もこないのと、かまくらづくりで中指を突き指してしまったのと、
吹雪いてきて視界が悪くなってきたので
アトリエは早じまいすることにした。

2時半頃に撤収して歩いて自宅へ戻った。
「ただいまー」といってすわり込んだ時に、
携帯電話に「いまアトリエの外にいるのですが、開いてないです。。」
というメールが入った。

!!!

高校生のつちや君がきているとのこと。
「雪がすごいですから無理はしないで下さいね!」
とメールをし、返事がなかったので来ないのかと早合点していたのだ。

慌ててやり取りしながらまた歩いてアトリエまで戻り、
土屋くんには平謝りをして許してもらった。

お家の方が近所に買い物があり、ついでに送り迎えをしてくれたのでこれたのだと言っていた。

たしかに、びしょぬれのヤッケ姿のわたしとはだいぶんちがうなあ、
とは思っていた。なるほど。
雪の日にわざわざいらしてくださった方用に、
チョコレートケーキを作っておいておいたので、それをつまみつつ、
クロッキーをした。
つちや君は小学校3年生くらいからアトリエに通ってきてくれていて、
今年4月で高校2年生になる。口数は多い方ではない。

通っている期間は長いけれど、わたしと二人だけ、などということはついぞなかったので、
しずかな雪景色を眺めながら、ぽつりぽつりと話をした。
進路のことや、先日つちや君がやったライブのこと、
いまつちや君が興味があること、
アトリエのこれからのことなど、いろいろと話をした。
外をみながら、
「きっと、つっちーが『大学入りましたから』って、アトリエを卒業する日がくると思うのですけれど、
その日まで、もうたぶん、こんなにサシで話せる日はないでしょうね」
というと、
そうですね、とつちやくんも外をみながらつぶやいていた。
そのうち暗くなってきて、つちや君のお迎えも来た。
「今日はなんにも制作させませんでしたね。。。申し訳ない。待たせましたし。」
と言うと、
「いや!クロッキーをしました」とつちやくんはちょっと笑って帰っていった。

そのあとクローズをして、最後の雪かきをして帰宅した。
帰りは吹雪いていて、傘がおちょこになったりして、
歩いていてちょっとテンションが上がってしまった。

私が生まれた新潟県の十日町周辺は、
冬は積雪4メートルと言われていたところなので、すごく懐かしかったのだ。

(これですれ違う車に、しゃんしゃんしゃん。。。
というチェーンの音がすれば完璧なんだがなあ)と思った。

疲れたけれど、いい一日だったなあ、と思った。