106. ミラクル

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アトリエをリニューアルしようと準備をつづけて、半年ちかくがたった。
今のアトリエの子供のような位置づけで、
もう一つ、夢のアトリエを作ろう、という発想だ。
スタッフの結婚や、数年前に自分が体調を崩したりして色々考えたたことがあって、
そうしよう、と思ってはじめた。

今度のアトリエは、小さな小さな喫茶室を併設したものにしようと思っている。

十ウン年、ちびっ子のお迎えにきてくださるお家のかたを、
いつも玄関に立ちっぱなしでお待たせしているのがずーっと心苦しかったのと、

ちびっこのアレルギーが年々、ものすごい勢いでふえていくのを間近でみていて、
何か自分でもできることはないのかなあ。。とずっと思ってきた結果だ。

アトリエアルケミストでは、頂き物やどなたかがつくったお菓子などを
みんなで分けあって食べることも多い。

夏にはスイカわりをするし、寒くなったら七輪で焼きいもをする。
そこでもいろいろな持ち寄りのたべものが出ることになる。
そういうイベントのたび、
「ぼくはチョコレートだめなんだ」
「くるみが入っているとぽつぽつ出ちゃうの。アーモンドは大丈夫なんだけど」
などなど、「みんなと一緒にたべられない」ひとの姿を目の当たりにする。

嫌いならばしかたがないよなあと思う。

でも、そうではないのに、みんながおいしそうに食べるのをぽつんと待っていたり、
別のものを出してもらって食べるのは、ちょっとせつないよなあとおもっていたのだ。

どんなに小さくたって、喫茶室はお茶を飲むところだ。
アトリエなのに邪道じゃん、とか、本業とずれてるのでは?とかは
さんざん自分でも考えた。

でも、やっぱりみんなで楽しく制作して、
おいしいものがあったらみんなでおいしいねって言ってほしいのだ。

まだ椅子もテーブルも揃ってない。
画材も本も足らない。
喫茶室に必要な食洗機や調理器具もまだだ。

必要なものやクリアしなきゃいけないことは山のようにあるし、
むしろ足りているもののほうが少ないのだけれど、
ま、なんとかなるだろう、と思っている。

足りているのは、やる、という気持ちだけだ。
 
腹がすわると何か風向きが変わるのか、お披露目のためのイベントに恵まれたり、
併設予定のカフェをやってくださる、すごい方に恵まれたり、
必要な機材が手に入ったりと、何かとラッキーな日々が続いている。

先日は思わぬところからイーゼルを手に入れることができた。

大学生長田くんが、大学の払い下げのイーゼルを大量に確保してくれたのだ。
搬送はアトリエの月曜日クラスの鈴木さんがご協力くださった。

「イーゼルがある」という連絡から、
現実にイーゼルが手に入るまで15時間くらいだったので、
なんだか白昼夢を見ているような感じだった。
 
アルケミストはまったく何もない状態から、
ぎりぎりと狭い場所に手をねじ込むようにして現実化した場所だ。

でも今度のアトリエは、
もっと無理なく現実化できるのでは、と思っている。

タイトルに「ミラクル」なんて書いたけれど、
ほんとうはミラクルなんかじゃないこともわかっている。

アルケミストっていう、街のちいさなアトリエでの制作時間を、
なつかしいように大事に思ってくれる人がいて、
その方がイーゼルあるよって言ってくれたり、協力するよって
言ってくれたり、遠くでちょっと気にしていてくれたりするからできているのだ。
そういうことを忘れないでやっていきたい。

新しいアトリエは、「アトリエ小鳥」という名前だ。
HPは現在制作中で、まだアップはしていない。

とくに喫茶室のほうは、ニュースでお知らせしたよりもオープン準備に
時間がかかっている。
気にしてくださっている方には 『まだなのかい?』と聞かれたりしている。

お待たせしてしまいそうだけれど、
あったかい場所にしたいなあー、と思っている。

そして実際の稼動も、あったかくなったら、になりそうだ。