105. 日本映画大学

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アトリエに「映画を撮らせて欲しい」というメールが届いた。

なんだろう、と思ってちゃんとメールを読んでみたら、
日本映画大学の学生さんが、課題のショートムービーを作るため、
アトリエを撮影場所として使いたいとのことだった。

なんだかおもしろそうだぞ、と思って快諾し、撮影当日を待った。

前もってまとめ役の方とはお会いしていたけれど、
当日に10人近くの10代後半~20代前半の人たちが
次々入って来たのには、なんだか静かにおどろいた。
アトリエでは大学生さんはわりあい小数派なので、
大学生集団の雰囲気におどろいたのだ。

社会人でもない、ちびっ子でもないひとたちの集団の
雰囲気は独特で、慣れればなんということはないのだろうけれど、
自分には新鮮でおもしろかった。

たくさんの機材が運ばれてきて、明るさを計ったり、
撮影の打ち合わせをしたりと、どの人も忙しそうだ。
役者さん役の学生さんと、撮影班の学生さんではまた専攻が違うらしく、
拝見していてもまとう雰囲気が違っていておもしろかった。
撮影班の学生さんは男女ともに文学青年のようで、
役者さん役の学生さんは、より普通っぽい感じの印象だった。

映画は色盲の女の子が絵を描くという話だった。

ひとたび撮影が始まると、しん、とした中で物語が進行する。

準備や、やり直し、といった現実のつづきで「スタート」と声がかかると、
物語がすすむ。
その物語は「カット」という声でたち切られて、また現実に戻る。

映画がシーンの切り貼りでできていることは、頭では知っているけれど、
近くでそれを見ていると、
現実のなかに宙ぶらりんのもう一つの現実があるみたいで、
すごく不思議な感じだった。

完成するまでは作品は監督の頭のなかにしかないのに、
それをチームでつくっていくのだからなんだかすごい。

映画製作のなかで、
どのあたりが一番おもしろさを感じるのかなあ、
と聞きたかったが、忙しそうなのでだまって見ていた。

学生さんはみなさん礼儀正しくて話がおもしろく、
むんむんと元気だった。

中休みの食事時に、アトリエを
「なんだかジブリっぽい場所ですねー」と口をそろえて言っていたのも印象的だった。

どのあたりがジブリなのだろう。

「また改めて、ご挨拶に伺います」と去っていったので、
その時に映画づくりはどこが一番楽しいのか?という質問とあわせて
どこがジブリなのかを伺おうと思っている。