088. 虫とバイク

088
ふだんはいつも、オートバイで移動をしている。
アトリエと自宅の距離は普通に運転して5分程度だろうか。

先日、アトリエに向かう途中で
オートバイのハンドルにカマキリの子どもがいることに気がついた。
速度はさして早くなかったが、小さなカマキリ的にはたいへんな暴風だと思う。
身体が大変に斜めになって、足で踏ん張っている。
(落ちてしまうのではないか)
と思ったが、運転中に繊細な作業ができるほどの運転技術はないので、
そのままアトリエまで行った。
アトリエに到着すると、無事カマキリの子は振り落とされずに
ハンドルとミラーの間にいた。
顔を近づけて覗き込むと、
『カッ!!』といった感じでファイティングポーズを取った。
小さくても大変毅然としている。
それだけ元気ならば大丈夫だろうと思い、
そのままアトリエで開講前の準備をした。

開講準備が整い、どうなっているかなあとオートバイを見に行ったところ、
もうカマキリの子はいなかった。
 
オートバイで5分の距離は、カマキリの子にとってどれだけの距離なのだろう。
予期せぬ引っ越しに幸あれ、と思った。

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その夜、自宅に帰宅したところ、「バンッ!」という音がしたので網戸を見たら、
かぶと虫が網戸に激突してもごもご動いていた。
足を1本折ったらしい。
写真を撮ってリリースしたが、
なぜか次の日の朝に駐車スペースの樹にくっついていた。
足のない箇所が一緒だったので、同一人物だと思う。
別の日には、オートバイに虫のふんが沢山落ちていて、何かいるのかと
探したが周囲には何もいなかった。

まるで宴の後のようだ。

オートバイと虫に関連性はないのだろうけど、関係があったら童話みたいだな、と思った。
個人的に、地味におもしろかった出来事だった。

虫とバイク