075. エビで山をつくろう

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アトリエはなぜかいつまでたっても貧乏だ。

床は抜けてボコボコだし、手作りのカーテンは風化しすぎて
とろろ昆布みたいになっている。

はじめは人が少ないので貧乏なのかなと思っていたのだが、
少し人が集まるようになっても同じなので、最近スタッフ全員で首を傾げている。

おそらく油絵だけのアトリエ、とかではないので材料費がかかりすぎるのだろう。
しかし値上げしすぎると、経済が制作のハードルになってしまうため、
できないしやりたくないので悩むところだ。

自分がやっているうちは他からの収入でカバーできるからいいけれど、
代替わりする時がむつかしい。
贅沢でなくても、せめて一人の人間が家族を養えるくらいのあがりは確保して
次に渡したい。

何かうまい工夫をしたいな、と思いながら過ごしている。

先日、いつも土曜日に来て下さっている立体スタッフの深谷さんの
ボーナスについての話になった。
ボーナスというか、年末の『今年もお世話になりました』といった意味のお礼で、
1万円(!!)くらいしか用意できないので現物支給にしたいが、
防災グッズはどうか、と聞いたのだ。

深谷さんは本業の仕事柄、そういったものはほとんど持っているとのこと。
投光器まで持っているらしい。

では真逆の発想で、1万円を豊かに使う、イカした方法はないかということになった。

1万円は、使おうと思えばあっという間の金額だ。
これをいかに豊かに使うか。

うまい棒を1000本買って床に敷き詰めるとか、チュッパチャップス大人買いとか、
吹きガラス体験に使う等々、色々案がでたあげく、
1万円分海老を買って海老フライを作り、
「海老フライでタワーをつくる」ということに落ち着きつつある。

深谷さんは海老が大好物なのだ。

ウエディングケーキ並みのタワーにして、上に旗を立てたいとのこと。

今は公民館の調理室を使うか、レンタルのフライヤー(揚げ物機)を借りるかで
迷っているらしいが、さすが深谷さんだ。

個人のお礼が完全にイベント化している気がするのだが、
深谷さん本人はそれでよいらしい。

すぐに「エビで山をつくろう」という
イベント参加募集のチラシを作ってきてアトリエに貼り出していた。

美しくタワーにする工夫にも余念がなく、様々な案を出しており、現在鋭意検討中だ。
常々おもしろい人だとは思っていたが、
やっぱりおもしろい。

ちなみにアトリエの代替わりといっても、
死なないかぎりはけっこうがんばるつもりなので、猶予は相当ある。
それまでにはいいアイデアがみつかるさ!とのんびり構えている。