043. ことば

043
アトリエでは、どなたかの作品が完成するとたいてい、わらわらと周囲の人が集まってくる。
そうして、その場で「ここが好きだなあ」「どうやってつくったの?」等々、
質疑応答会というか、講評会のようなものがはじまることが多い。
お互いに発見したことを教えあったり、本の情報交換になったりもして、
拝見していると楽しくなる。

ちびっ子がかならずやる、制作時間前の人物クロッキーも、
講評会とまではいかないけれど、お互いに見せっこしあうのが常だ。

人物のクロッキーは、短い時間に集中して、
モデルを鉛筆で描いてもらうというものだ。
繰り返して回数を重ねていくので、慣れるにつれて
どの人も線や対象のとらえ方が刻々と変化していくのがおもしろい。

毎回、「おおーすごいね!」「ここよく見たねえ」
「やばいよこれはー!」等々言いながらクロッキーを見ている。

作品の変化はまさにドラマで、結構興奮してしまう。
おもわず、思った通りの言葉づかいで感想を述べてしまい、
やばいとか熱いとか口走ることになる。

ちびっ子クラスに、とても品のある男の子がいる。
しっかりさんなので、例外的に幼稚園の時から通われている人だ。

彼は、毎回わたしたちの感想を聞いているうち、
日本語を間違って覚えてしまったらしい。

ある日、自分でも納得する仕上がりだったのだろう、
描きあがった自分のクロッキーをにっこり眺めたあと、
とことこと、わたしたちに持って来て見せにきてくれた。

「せんせい、これやばいですかー」

。。。!

自分たちのやばすぎる日本語をどう訂正したものか、今考え中だ。