032. こがねむし

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先日地下鉄にのって都内に出かけた。
お昼頃だったのだが、サラリーマンの人からマダム風の人、大学生風の人まで色々な人がいた。
表参道駅で、2人連れのサラリーマン風の人が乗ってきた。
30代半ばくらいだろうか、2人とも気合いの入ったおしゃれさんだ。
とくに、1人の人は日焼けをしていて、真っ白なシャツの襟を立てている。
整髪料のきいたクルーカットで胸をぐっと張り、
美女とヨットにのっていそうな感じだ。

目立つので眺めていたら、その人が連れの人と話をするために体の向きを変えたところ、
背中に大きなこがね虫がついていた。
真っ白なおしゃれシャツの背中でもぞもぞ動くみどりの黄金虫は大変目立った。

けっこう目立つ人だし、おこられるかなあとおもったが、
迷ったあげく一応お教えする事にした。

「あのー・・・すみません。

こがね虫がついてます。」

こわごわいうと、
「えっ、ほんとお?!」
と意外と明るい反応が返ってきた。

姿に似合わずかん高い声だった。

勇気をだしてよかったな、と思った。