016. 遠いともだち

016
中学生のひとで、制作が大好きなひとがいる。
こつこつと制作しては美術室にやってきて、作品を見せてくれる。

その人が昼休みに美術室にやってきて、こんな話をしてくれた。

ある作家の作品集を見ていたら、
先日自分が制作した作品と、ほぼ同じものがあった。
自分の作品はまったく自分のアイデアで制作したし、
作品集にあった作品を、過去に見た事もなかった。
それなのに二つの作品は発想も方法もほとんど一緒だった。
こんなことってあるのだろうか・・・。

実は私も、同じような経験がある。

小学生の頃、家で描いていた絵とそっくりの絵を、
ずこし後になってから学校の授業で見た事があったのだ。
その絵は一度も見たことはなかったはずだし、画家の絵のほうがずっと昔に描かれていたはずなのに、
どうしてこんなにそっくりなんだろうと、不思議な気持ちでどきどきしたのを覚えている。

こんなことがあると、私はやっぱり妄想をしてしまう。

きっと作品や、アイデアにはもとのようなものがあって、それらはどこかで繋がっていて、
制作する人は、それをそれぞれのやりかたで作品にするのではないだろうか。
きっと中学生のひととその作家さんは、生きた時間も場所も違うけれど、同じ回路を通って
作品を作ったのではないだろうか・・・。

そんなことを考えたのは、
自分の絵を画家の絵として出会いなおした時の気持ちが印象的だったからなのだと思う。
遠い場所で親しい友達に会えたような、同じ言葉を話す同郷のひとと出会えたような、
うれしくてどきどきする感じだったからだ。

昔の哲学者じゃあるまいし、全くの妄想なんだろうけれど、
そう考えるのはやっぱりたのしいよなと思う。