015. セクシー

015
久しぶりに休みをとって、伊勢と京都に行って来た。

三重県にある伊勢神宮には、お土産やさんが軒をつらねた横町がある。
新幹線等で販売しているあんこのお餅「赤福」の本店や、伊勢うどんなどの
食べ物のお店もならんでいる。

昼食をとろうと思い飲食店を探したが、
表通りは、舞台セットのようにきれいすぎるお店が立ち並んでいて、どこも気が引けて入れなかった。

そのままぶらついていると、落ちついたたたずまいの、悪く言えば
古い食堂があったので、そこに入った。

初老の女性が3人と、高校生くらいの年頃の女の子ひとりの、
計4人の女性が立ち働いていた。
天井が高く、ところどころ増築したらしいトタンの屋根部分から光が降り注いでいる。
ウナギの寝床のように奥に長いつくりの店内をおばあちゃん達が颯爽と行き来していた。

おばあちゃん達は土地の言葉で大声でおしゃべりしながら働いている。
大変元気だ。
「○番テーブルにうどんおひとつ」というような業務連絡から
「近所の○○がどうたらこうたら」といった世間話までおなじ調子で
しゃべりながら働いている。

お店をぐるりと見回してすぐ、
私は3人のうちの一人のおばあさんに目が釘付けになった。

超ミニスカートで、フランスの女優のような大きなつばにフレアのきいた
ピンクの帽子をかぶっている。ブラウスもひらひらだ。
表情は普通の、ノーメイクの、きりりとした細面のおばあさんといった風情。

結構目立つと思うのだが、
お客も普通に食事をしており周りのおばあさん達も普通に一緒に仕事をしている。
驚いている私が変なのかもしれないと感じたが、やはり目が吸い寄せられてしまう。

蝶々のようないでたちで、スチールの机を拭いたり、ちょっとかがむと
階段を上がる女子高生を見上げてはいけない、とような、そういった感じになる。
不気味ではなく、堂々とセクシーだった。

私は伊勢うどんの素うどんを頼んだ。
お約束のように丼に親指が入って出されて来たので、ちょっと面白かった。
麺は大変のびていた。

お勘定を払ってお店を出ると、白昼夢から覚めたような気分になった。
いい外食したなと思った。