004. アクアフレッシュ

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郵便ポストが不思議だと思っていた。なぜ手紙が重なりすぎて曲がったりしないのだろう。
私はよく、大事な書類を折ったり曲げたりしてひんしゅくをかうので、
沢山かさなった紙類が曲がらないのが不思議でしかたがない。
割合に、新しい友人が出来るたびに聞いたりしているのだが、しくみを教えてもらえたことはまだない。

アクアフレッシュも、しぼってもしぼっても、どうしてストライプなのか不思議だった。
あまりに不思議だったので、高校生のころ一度、新品を冷凍庫で凍らせ、包丁でまっぷたつに切ってみたことがある。
チューブの太さでアクアフレッシュ柄になっていた。
なるほど!と一瞬わかったような気になったが、よく考えると、なぜしぼっても同じようになるのかは結局わからない。

学生だった頃は、知ることで世界をわかることができると思っていた。

算数や国語や社会や英語を勉強して、沢山覚えて、そうすれば、
今はわからないことだってなんでもわかる、かっこいい大人になれると信じていた。

大人になった今は、毎日がわからないことだらけで、かっこいい大人になれたかというとかなり微妙だ。
色々な事もやっぱり不思議なままだけれど、
ただ、学生の頃の自分がおもっていたより、世界はずっと面白いんじゃないかって思っている。

社会人になって、サラリーマンをしていた時、仕事帰りにふと思いついて、
使い捨てのコンタクトレンズを電子レンジにかけてみたことがある。
部屋に戻った夜中、電子レンジが低い音をたてて、コンタクトレンズをあたためていく。

今思うとけっこうシュールな光景だなと思うけれど、そのときはぼんやり見ていただけだった。
コンタクトレンズは透明なきくらげのようにぱりぱりになって、指で押したらぺきん、と割れた。

これは別に不思議だったわけではない。

ま、ちょっとやってみたかっただけだ。