003. 妄想癖

003
家族の者からいつも、「あんたは小さいころからちょっとだけ地面から浮いていた」
と言われていた。
ほんとうに浮いてたわけではないけれど、
きっといつも、どこか地に足がついてないというか、うわのそらだったのだろう。

小学生の頃は、夜、タオルケットにくるまって、
小人がタオルの洞窟に住んでいる話をつくって連日連夜興奮していたし、
飼っていた鳥とは、努力すれば話せるようになるんじゃないかと真剣に考えていた。

鳥と話せたらいいな、ならまだわかるが、
話そうと苦心していたのだから、想像というより妄想だと思う。

大人になってもその癖はあまり抜けず、20代前半の妄想はアトリエについてだった。
建物の見取り図まで描いて友人に見せていた。
友人も迷惑だったと思うので、わるいことしたなと思っている。

一番最近では、本から妄想した。

好きな作家の古本を手に入れ、わくわくしながら読了した。
あとがきまで全部読み終わり、ふう、と表紙を見返したところ、訳者の名前をみて、驚いた。
その訳者は、小さいころから大事にしていた本の著者だったからだ。

これを知りたい、あれが好きだな、と地味に思っていると、
不思議とそれらは思いもよらないところで繋がったり、必要なパーツがころがりこんだりすることがある。

誰かがちょっとずつヒントを落としていったみたいだと思う。
そんなふうに考えると、まわりの生活がなぞなぞ遊びのように思えたりする。

こういう妄想はけっこう楽しいので、やっぱり妄想はやめられない。