144.グループ展

先日、アトリエつながりのメンバーでグループ展をした。 アトリエの元スタッフで、いまは抽象画家の韓美華先生と、 アトリエ現スタッフの梓先生、わたし、 土曜日大人クラスの山口さんの4名でのグループ展だ。 グループ展の会場は、横浜青葉区の瀟洒な住宅街にある 「ギャラリーカフェ リンデン」というギャラリーだった。 オーナーの近藤さんという女性が素敵な方で、 ことばの端々に(このギャラリーでイベントをする人 …

143.自慢

今年の夏に学展、という学生さん向けの全国絵画コンクールがあって、 アトリエでは毎年数名が出品している。 今年は各曜日クラスから小学校3年生から5年生までの人と、 高校1年生の男の子の合わせて5人のひとが出品した。 3人が入選して、2人が賞をいただいた。 全員入選するのは毎年のことなので珍しくはないのだけれど、 入賞者がでたのは初めてで、本人たちが一番驚いていたのではないかと思う。 と、このように書 …

湯湯婆って沼地に生息する妖怪いそう

毎年思うが、かぼちゃ祭り辺りから年明けまでのスピードは何でこんなに早いんだろう。仕事の忙しさやイベント続きのことを差し引いても、どう考えてもおかしい気がする。 この忙しないのと平行してめっきり冷え込んできた。冷たいお布団に入るのは辛いので、今年も湯たんぽを入れはじめた。 うちにはとてもとても素敵な電気ポットがある(自慢)(本当に嬉しい誕生日プレゼントだった!)のだけど、これだと湯たんぽの半量しか入 …

142.豊かな感性

大学生のひとが書くレポートを添削するときによく出てくるフレーズで 「感性を豊かにしてうんぬん」というものがある。 図工の時間の授業案をつくる、という課題のレポートなのだけれど、 制作のある段階にくると「感性を豊かにして〇〇をさせる」と 書くひとがすごく多いのだ。 それにどうしてもひっかかってしまう。 まるで、どこかにスイッチのようなものがあって、 「よし!今から感性を豊かにするぞおー」と切り替えら …

快適な引きこもりのために

せっかくの連休だけど台風が直撃している。 お家での快適な引きこもりのために土曜アトリエ帰りにDVDを借り甘いものも色々買い込んだのだけど、日曜の午後には早々に尽きたので明日の分のおやつとドーナツでもと雨の中商店街にきた。 ら、こんなことになってる! 昨日今日お祭りなのは知ってたけど中止になったとばかり思ってた! ちょうどいろんな町内が集まって商店街を抜けて神社に向かうとこらしく、次から次へお囃子と …

141.映える写真

土曜日のアトリエは朝の10時から夜7時まで開講している。 スタッフはオープニング(開講準備)からクローズ(後片付け)まで含めると ほぼ丸1日アトリエにいることになるので、 お昼だけではなくておやつも食べてその一日を過ごす。 テーズルを囲んでもぐもぐと口を動かしながら どうでも良いよもやま話から仕事の話までが話題にのぼる。 わたしはけっこう好きな時間だ。 先週土曜日は、「インスタ映えとは何か」という …

雨がちらついてきたので帰ります

今年初の花火を見ている。 日にちを覚えてなくても毎年家にいるとかなり大きく音が響いてくるので、冷たいお茶を入れて煎った落花生を持って(鳴り始めてからだいぶ長い間やってるので急がない)、近所の川縁に向かう。 本当はこの川の更に向こうの川で上げているのだけど、人混みにまみれることなく見られるのでいつもここに来る。 ここら辺の人もみんなふらっと家着で川縁に集まってくる。 自転車に跨がったまま花火を眺めて …

140.小学校の掃除

最近1年生の人がちびっ子クラスに増えて、思ったことがある。 このひとたちは、「暮らしていく」ということの全体性を体験する機会が あまりないのではないだろうか? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 先日、アトリエを始める子がいて、初めての制作と掃除をした。 アトリエでは、掃除を制作と同じくらい重要視していて、 自分のしたことを自分で片付けること、 次の人のことを考えてきれいに現状復帰する …

139.たいしくん

月曜日にたいしくん、という男の子が来ている。 クジラが大好きで、今はF15号という 大きな座ぶとんくらいのサイズのキャンパスに 油絵の具を使ってクジラを描いている。 今は準備や後片付けも含めて手順が分かってきて、 絵の具を重ねるとどうなるか、 オイルをどの程度加えるとどうなるかなどの 経験値をかさねながら進めることができているけれど、 はじめのうちは大変だった。 クジラを描く、ということはわりあい …

テレビデオはまだ現役

昭和の日、我が家の電子レンジが壊れた。冷凍ごはんを4分掛けても、汗をかいただけで凍ったままだったのだ。 少し機嫌が悪いのかも、と思ってちょっと時間を空けたり一晩空けたり、トースター機能にしたりオーブン機能にしたりボタンひとつで熱燗機能にしたり、いろいろやってみたけれど大きくブゥーンと唸るだけでまったく効果は無かった。   彼、もしくは彼女は(フランス語では男性名詞、ドイツ語では女性名詞なのだそうだ …

138. はさみん

アトリエでは制作中に手を動かしながらよもやま話をすることが多い。 何がどういうルールでそうなるのかはわからないけれど、 波がひいては返すように、皆がしん、とそれぞれの制作に没入するときと、 手を動かしながら他愛のないよもやま話になるときが交互に入り交じる。 先日の土曜日のちびっ子クラスでは、「この道具は何歳だと思うか」で盛り上がった。 細い針金をハサミで切ってしまうひとに 「ハサミじゃなくて、ニッ …

137.アクセス2017

アトリエは色々な意味でアクセスが悪い。 場所も最寄り駅から歩いて8分という微妙な距離だし、 ホームページも検索一位!とかではない。 一番よろしくないのは、 お問い合わせをいただいたとき、タイミングよくお返事できないことがある、という点だ。 お問い合わせを頂く端末のメインがPCから スマートフォンや携帯電話になって、 早朝や夜中にお返事ができなくなってしまったのが理由だ。 理想は、お問い合わせをいた …

136.ラリー

アトリエでは、さまざまな年齢の方が、それぞれに興味がある制作をして頂いている。 同じ部屋のなかでこちらでは絵を絵の具で描いていて、 あちらでは粘土を使っていて、 ここではのこぎりを使って木を切っている。。。といったような風景は、 ここアルケミストでは日常の風景だ。 普段は皆、ばらばらの制作をしているアトリエだけれど、 ちびっ子クラスには月に1回、「テーマ制作」という時間を設けている。 スタッフが持 …

お腹痛かったのを帰宅してから思い出す

昨日はアトリエの帰り道、小田急で事故があり電車が停まった。 玉学の駅を出たのが夜の9時過ぎ、 新百合の手前で事故がアナウンスされて向ヶ丘遊園~成城学園前間が不通になるので それぞれ折り返し運転になるとのこと。 新百合から多摩センター経由で京王線に出て新宿から向こうに行くか、 向ヶ丘遊園までとりあえず行ってそこから考えるか。 調べたら成城学園前に23:30頃着ければ終電に間に合う。 向ヶ丘遊園~成城 …

何故人は送る宛てのないポストカードを土産に買ってしまうのか

昨日は千葉の佐倉市にある国立歴史民俗博物館へ、 朝鮮半島にある倭系古墳についての講座を聞きにいった。 開始は午後からだったので、午前中はふた駅手前にある遺跡に見に行くことにした。 ここ数年なにか用事で遠方へ行くとき、 時間を作って近くの古墳や遺跡なんかを調べて巡ることにしている。 初めて訪れる土地、ほとんど観光地とはなってない場所を捜すことが多いので、 グーグルマップに大変お世話になっている。 し …

135.みか先生

アトリエには曜日ごとに担当のスタッフの方がいて、 月曜日は○○先生、水曜日は○○先生。。。。といった形で日々の制作を進めている。 私は全ての曜日に出ているのでわかるのだが、 のんきでゆったりしているところや、掃除をしっかりしてもらうところは同じでも、 曜日クラスごとにまったく違う雰囲気になっている。 担当して下さっている方と、集まっているちびっ子との組み合わせで 違いがでるのだと思うけれど、同じ「 …

134.その後(2)

土曜日にきていたももちゃんが美大生になって半年が経つ。 アトリエちびっ子チームから持ち上がりで今年の4月に美大生になったのは3名だ。 ももちゃんはそのうちの一人で、染織を専門に勉強している。 他の二人はアトリエに通い続けているけれど、 ももちゃんは勉強が忙しすぎてなかなか来れない。 先日アトリエのクローズ(最後の後片付け)に人手が足らず、 ももちゃんにメールで助っ人と要請したところ来てくれて、 実 …

モセスンを考える

先日買った古本を開いたら、謎のメモが挟まっていた。 モーシトコーシ、ナゴーボーカコー、セヒョーリョーコーダ… この本のネタばれだったらどうしよう?と思いつつ(夜の来訪者というミステリーの本だったので)、いろいろ考えてみた。 ①外国語を話す人の音をそのまま書き取った 場所は下町、飲み屋街にほど近い古本屋にあった本だ。馴染みのお店が開くまで本を持ち時間を潰す一人の男。かわいいあの娘と言葉はなかなか通じ …

133.大人と子どもの制作

アトリエ・アルケミストでは大人と子どもが一緒に制作をすることがめずらしくない。 特に土曜日は、小学生から社会人までの幅広い人が 同じ空間で制作をすることがままある。 1時から3時のちびっ子クラスの子がお休みした分も長く制作するときは、 夕方の大人のクラスに混じって制作するからだ。 制作も個々で異なる制作を進めているため、あちらでは日本画を描いて、 こちらでは粘土で塑造を作っていて、 別の場所では手 …

132.その後

アトリエでは小さい頃から通って来ている人が少なくない。 小学校2年生くらいで通うようになり、今は大学生。。 というひともめずらしくはない。 もちろん数年でアトリエを卒業するひともいるけれど、 大人のひとも、ちびっこも、基本的には通い始めると長い。 やめるパターンとしては、ちびっ子は受験がからむ卒業が多い。 はじめに出会った時の印象がいつまでも尾を引くので、 「あのときのあのちびっ子」が受験デッサン …

神田明神下で街路樹に桃が成ってるのを見つける

  きょうはそこまで日射しが強くなくて過ごしやすい日。 昼過ぎまで日本橋のまほろば館で、ヤマト王権の成立について二時間で三講座のつめつめ考古講座があった。奈良盆地ってとても狭い範囲で時代によって唐古・鍵遺跡から纒向遺跡に集落が移行してく様がすごく面白い。 纒向からは土木の道具ばっかで農耕具が殆ど出土してないんで、あそこに住んでた人たちは農耕しない今でいう都会人みたいなのなんだそうだ。弥生 …

131.うわのそら

昔から考え事をしていると他の事がおろそかになることが多くて、 小さい頃は「あんたはちょっとだけ地面から浮いていた」と言われていた。 考える、といっても何か難しいことを考えているのではない。 むしろ妄想に近いくだらないことばかりを考えていたように思う。 以前にもコラムに描いたけれど、タオルケットにくるまって、 毎夜「洞窟に住む小人の話」を自分でねつ造しては大興奮いたし、 飼っていたセキセイインコとは …

130.きれいな顔

木曜日のちびっ子クラスは大人しい女の子が多いクラスで、 いつも静かな時間が流れている。 そんな女の子のひとり、なぎちゃんはかわいいものが大好きだ。 アトリエでのなぎちゃんは口数は少ない。 話したい事がないわけではない。 ごく親しい人以外に、気持ちを言葉にして押し出すのに 少しエネルギーが要るのだと思う。 だから、話には表情で参加しているし、大好きなものの話題になると、 ためらいを忘れてぱあっと話し …

129. 続ける

先日、PCを持って、最寄り駅の駅前にあるコーヒーショップで仕事をした。 レジで注文をとってくれる女性に見覚えがあったので瞬きをしたら、 以前私立の学校で授業をしていた子だと分かった。 向こうもすぐ分かったらしく、もう大学2年生です、と照れ笑いをした。 ご縁があって授業をさせていただいている私立学校は一貫制の大学部まである学校で、 いつの間にか10年近く授業をしているため、こういうことがよくある。 …

128. 七輪

土曜日クラスで受験が終わった人がいたので、七輪でおつかれさま会をした。 今年は三人が大学受験、二人が高校受験だ。 大学受験組は、美大を受験したひとは全員合格だった。 前のコラムに書いたももちゃんも、無事に春から多摩美生である。 アトリエには玄関に七輪が常備してあって、ちょっとしたイベントによく使われている。 大したイベントでなくても、「寒いから焼き芋をしよう」とか、 「じゃがいもがたくさん手に入っ …

127. ももちゃんの受験

アトリエではあんまり受験デッサンだけをお受けする、ということをしていない。 小さい頃からアトリエに来ていて、高校生になったひとたちのなかに、 美術大学を受験する人が出ると、お手伝いしますよ!といったスタイルを取っている。 彼等は小さい頃からクロッキー、といって短い時間で人物を見て描く、という ことを毎回のアトリエの制作時間にしてきている。だから、ものを見る事には慣れている。 どこを見るひとなのか、 …

126. ふたりの時間

今日から春だな、と思うときがある。 それは朝アトリエに来て窓を開けた時の空気の香りともいえない香りだったり、 眠そうに間延びした調子の鳥のさえずりだったりする。 「何がどうだから今日から春である」という基準はないけれど、 春だなと感じる瞬間は確かにある。不思議だなあ、と毎年思う。 先日から土曜日の夕方のクラスに ご夫婦がお二人で制作にいらしている。 アトリエで出会ってご夫婦になり、お二人で通うよう …

125. 遠足

アトリエのちびっこクラスでは、時おり制作時間を外で過ごす。 春、桜が咲いたらスケッチをしに行く。 冬の寒い時期には七輪で焼き芋を焼いて過ごす日がある。 夏は制作を早めに切り上げてしてスイカ割りをする日がある。 先日は、同じ町内にある玉川大学まで出かけて、 彫刻の教授の作品展を見てもらう鑑賞会のようなことをした。 大学の個展会場までは徒歩で25分ほど。ちょっとした遠足だ。 アトリエのスタッフが2名同 …

124. ハロウイン騒動

先日、都内のイベント会社からアトリエに「ファッションビルの装飾として ハロウイン向けオブジェを作りませんか」 というメールが届いた。 場所は町田の駅近くにあるファッションビルで、 案が通れば仕事として発注する、とのことだった。 地元のそのビルでディスプレイの仕事ができるとあって 興味のあるスタッフは色めきたった。 それから2週間ほど、ああでもない、こうでもないと言いながら案をまとめ、 試作をし、完 …

123. すいか割り

アトリエでは毎年、気温が高い8月の土曜日にスイカ割りをするのが恒例になっている。 アトリエの前にはほんの少し駐車できるスペースがあるので、 そこをつかってスイカ割りをするのだ。 この日は30分ほど早く制作を切り上げて片付けをして、部屋に大きなビニールシートを敷く。 思いっきり食べて、思い切りこぼしても大丈夫なようにだ。 あとは道路ですいかが転がっていかないように、 染め物用の大きなアルミ鍋にスイカ …

122. エビフライで山をつくろうリターンズ

アトリエではよく、通われている大人の方がなんとなく集まって ごはんを食べたりどこかへ出かけたりということをする。 毎回行く人が決まっているわけではなくて、たまたま都合がよくて、 しかも気分が乗ったひとが行く感じだ。 制作のあとにお腹がすいたので近所のカレー屋さんへ行く、といった、ただの寄り道から、 浅草に出かけて落語を聞いてもんじゃ焼きを食べる等の遠足的なものまで内容はいろいろだ。 以前のコラムに …

121. シトロン

月曜日のアトリエ終了後、いただきもののお菓子を食べることにした。 ふたを開けると、箱の中にはカラフルなマカロンがころころと並んでいる。 のんびりが身上のアトリエだが、 開講準備から制作時間、後片付けのクローズ作業までスタッフ同士が話し込む、ということはほとんどない。 別に不仲なのではない。 全員、愚直なほど真面目に仕事に取り組むからだ。 オープニングは集中して、大忙しで働く。 階段に落ちた落ち葉の …

120. 桜をみる

今年は花見に真剣に取り組もうと思い立ち、やってみた。 ここ何年も、「ああもうちょっとしっかり桜を見たかったな」と思っていたので、 今年は桜見物を全ての最優先にする、ときめた。 桜は待ったなしで、自分の都合では咲いてくれない。仕事だから。。と言っていては、 いつまでたっても桜はしっかり見られないぞ、と思ったからだ。 咲き始めの夜桜はアトリエいらしていた皆さんと一緒に見物した。 思い思いの飲み物を手に …

119. ふるさと

師が定年退職を迎える。 大学に通っている時も、社会人になってからもお世話になっていた、大切な恩師だ。 教えていただかないとどこの国のものなのか、何の為に使うのかさっぱりわからない道具が ところ狭しと置いてある先生の研究室は、見た目はおそろしく乱雑なのだけれど、 そこへ飛び込むとどんな時でも心の底からほっとしたものだった。 先生はたいてい、それまでしていた作業の手を止めて、 お茶を煎れて下さる。 先 …

118. スピード

そろそろ苗を植える時期がやってきた。 3月になると、色々な場所で植物苗が沢山出回るので楽しい。 草が好きでいろいろと育てているけれど、 種類によってこんなにも成長するスピードが違うのかとびっくりすることがよくある。 はじめてローズマリーを苗から育てたときもそうだった。 何ヶ月経ってもまったく変化が見られず、伸びる気配もないので(。。大丈夫なのか?) と思いながら世話をしていた。 他の植物達はどんど …

117. きよしの夜

ちびっこと制作していると、制作そのものが楽しいということはもちろんで、 加えて会話がものすごく面白い、ということがままある。 話してくれる内容はさまざまだけれど、 ああ、よそゆきでない状態でリラックスして制作してくれているのかな と思うことはけっこうあって嬉しい。 先日、小学2年生の男の子と一緒に制作をしていたときもそうだった。 男の子は木で作品をつくるためにのこぎりを使っていた。 のこぎりをひき …

116. メールが沢山

アトリエに制作しにこられる方やちびっ子と一緒の時間を過ごさせて頂いていると、 本当にリズムやスピード感って人それぞれだなあ。。。とよく思う。 ぐうっと短期間に集中して、ぽかんと休む人も入れば、 なかなかテンションはあがらないのだけれど、集中の波がくると集中しっぱなしの人もいる。 淡々とひとつのものを制作しつづけるひともいれば、 制作ジャンルも技法もどんどん変えて平行して制作することが自然な人もいる …

115. 会話

休日出勤のはずだった夫が休みになったので、 二人で散歩に行くことにした。 一緒にのんびりぶらぶら歩くことは、とても贅沢なイベントだと思う。 忙しいとき、家では二人ともあまり沢山話さない。 夫は会議で、私はアトリエで、会話に使うエネルギーや神経は充分使っているからだ 。 一日の終わりに、今日なにがあったよ、とか、そこの角の梅が咲いた、とか、 ぽつん、ぽつん、と話してあとはまた、静かな空間に戻っていく …

114. 大菩薩峠

大阪に住んでいる母が遊びにきたので、妹とアトリエの長田くんと映画を見に行った。 都内の映画館で市川雷藏フェアをやっていて、ずっと興味があったからだ。 昔の漫画で、「じゃりん子チエ」という大阪の下町が舞台の漫画がある。 ホルモン焼き屋を経営する(?)小学生女子が主人公なのだが、 その女の子のお母さんが市川雷蔵が大好きだというくだりがある。 もの静かで控えめなお母さんが大好きな市川雷蔵って、 どんな人 …

113. 南塚先生

いつも通る川沿いの道は、日が暮れると虫の声がうるさいくらいで、 目をつむると音が身体にしみこんでくるような気がする。 昼間はまだ、思い出したように蝉が鳴いたり、けっこう暑かったりするのだけれど、 夕方にはすっと涼しくなって、空気も香ばしいような独特のにおいがする 。 秋がきましたね、と思う。 いつもは地縛霊のようにアトリエの近所をぐるぐるまわって暮らしているのだけれど、 今月は色々なところへ出る機 …

112. あおきっくすが降りてきた

4月から新しいメンバー体制になって4ヶ月が経とうとしている。 新しいメンバーでのアルケミストも落ちついてきた感じだ。 仲間に加わったメンバーは、男性がふたり、女性がひとりの 計3名だ。 偶然が重なって、アトリエにいらして下さることになった方ばかりだ。 そのうちのひとり、青木くんが参加することになった経緯も そうだった。 青木春平くんは小学校高学年から中学校までアトリエに通ってきてくれていた人だ。 …

111. 草刈り

梅雨明けと大暑がいっぺんにやってきて、急に夏本番になった。 夏はけっこう好きな季節だ。 夏休みも花火もあるし、お祭りもある。 ふだんは学校にいる小学生が自転車でうろうろしていたりして、 街全体がなんとなく非日常な感じになるのが楽しい。 先日は、昼過ぎからスタッフ3名が集まってアトリエの草取りをした。 夕方には他のスタッフや大人クラスに通われている方も集まり、 たこ焼きを焼いて食べる会を予定していた …

110. ワープ

つい先日大雪だと思っていたら、 いつの間にか桜が咲いてゴールデンウイークも過ぎ、 今は梅雨だ。 今年はとくに、あっという間だなー!と思う。 喫茶の準備がはじまったり、 長く勤めてくれていたスタッフの男の子が結婚→寿退社をしたり、 思いがけず新しい仲間に恵まれたり。。。 目まぐるしくアトリエの周辺が変化した半年だった。 ちいさな喫茶室をやりたいなあ、と思ったのは4、5年ほど前からだ。 アト …

109. 大雪の日

東京で、十何年ぶりかといわれる大雪が降った。 その日は朝から雪だったけれど、とにかくアトリエは開けておこうと思った。 「振り替えはできますので、どうぞお休みくださいね」とホームページとFBでお伝えし、 こつこつとオープニング作業をした。 雪で帰れなくなったりすると困るので、 土曜日のスタッフの宇都宮先生と深谷先生にはお休みしてもらった。 土曜日はいつも、基本的に一人で開講準備(オープニング)をする …

108. 羽菜ちゃんのデッサン

羽菜ちゃんは、小学2年生の女の子だ。 アトリエには一昨年から通うようになった。 アトリエに通ってくるひとは、大抵つくることが好きではいってくるのだけれど、 はなちゃんはその好き、の度合いが半端ではない。 恐ろしくつくることが好きなのだと思う。 アイデアが浮かんで、作りたいもの、描きたいものが定まると、 もうそこからはノンストップだ。 あるとき、はなちゃんはケーキの絵を集中して描いていた。 突然「ぶ …

107. スキップ

お正月のお休み中、よく夫婦で散歩をした。 家から歩いて2、3分で遊歩道のある川に出るので、川沿いをずっと歩くのだ。 なんの話の流れなのか、私がスキップがうまく出来ない、という話になった。 「スキップって、出来ない人っているの?」 「いやなんか。。リズムを取るのが決定的に下手なのかもです」 だってさ、といって主人がスキップを実演してくれた。 「これだよ?できるでしょう。ちょっとやってみたら」 しぶし …

106. ミラクル

アトリエをリニューアルしようと準備をつづけて、半年ちかくがたった。 今のアトリエの子供のような位置づけで、 もう一つ、夢のアトリエを作ろう、という発想だ。 スタッフの結婚や、数年前に自分が体調を崩したりして色々考えたたことがあって、 そうしよう、と思ってはじめた。 今度のアトリエは、小さな小さな喫茶室を併設したものにしようと思っている。 十ウン年、ちびっ子のお迎えにきてくださるお家のかたを、 いつ …

105. 日本映画大学

アトリエに「映画を撮らせて欲しい」というメールが届いた。 なんだろう、と思ってちゃんとメールを読んでみたら、 日本映画大学の学生さんが、課題のショートムービーを作るため、 アトリエを撮影場所として使いたいとのことだった。 なんだかおもしろそうだぞ、と思って快諾し、撮影当日を待った。 前もってまとめ役の方とはお会いしていたけれど、 当日に10人近くの10代後半~20代前半の人たちが 次々入って来たの …

104. あとかたづけ

先日、アトリエでクリスマスリースを作るワークショップをした。 以前はクッキーを焼く会を10年近く続けていた。 今年はリースづくりに切り替えてから2年目だろうか。 この日は通っている方のお友達やお家の方も自由にいらして頂くので、 ご一家でご参加下さる方、親戚の子と一緒のひとなど顔ぶれも様々だった。 決まっているのはいらっしゃるお時間だけだ。 ベースと飾る素材、道具を用意しておき、あとはお好きにどうぞ …

103. すきなひと

仲間内の集まりで、こんど結婚する人の話がまったく出なくて、 いろいろと考えたことがあった。 ひとをすきになる、ということほど 内容と意味が千差万別なものはないなあ、と思う。 誰かをすきになって、そのひとのためにすごいパワーが出せるときもあれば、 ひまつぶしに好きになったり、 好きという気持ちを自分の支えにしたり。。 好き、という気持ちが、毎日のなかに穏やかにとけこんでいるひともいると思う。 しっく …

102. カンパネルラの孫

かつての職場だった大学の金属工芸研究室が引っ越しとなった。 耐震性に問題があるとかで、同じ学内にある、 かつては食堂だった建物に引っ越す事になったのだ。 それを聞いた時はけっこうショックだった。 所属は全く違う研究室だったのに、何かあると飛び込んでぐちを聞いてもらったり、 お茶をもらったりしたのは金工の先生だったので、とても愛着があったからだ。 先生が受け取るお土産セット(焼酎「いいちこ」、ミック …

101. ゆうたろうくん

先日、月曜日のちびっこクラスに通っていたゆうたろう君という男の子が、 アトリエに遊びにきてくれた。 シンガポールに引っ越す、ということでアトリエを卒業となったのだけれど、 日本に一時帰国するついでに寄ってくれたのだ。 ゆうたろう君は、小学校2年生から6年生まで通ってくれていた。 現在は中学2年生だ。 とにかく銃が好きで、絵でも銃、紙粘土でも銃、木工でも銃。。。 という銃三昧の制作をするひとだった。 …

100. なかまになれ

公募でスタッフを募集することにした。 アトリエでは初めてのことだ。 今までは、ずっと知り合いだった人や、 ずっと水面下でお手伝いしてくださっていた方が 時間を経てスタッフになる、という形だった。 アトリエの雰囲気やコンセプトを理解してくれていることが 一番大事だと考えていたからだ。 いつまで経っても何故か貧乏なアトリエは、スタッフだけは増えていって、私を含めると 現在は5名のスタッフで運営している …

099. 一緒に制作する理由

アトリエでは色々な制作をしているひとがいる。 同じ空間、同じ時間の中でまったく別の制作が進んでいて、 ついでに制作する人の年齢も違う、という風景は、アトリエでは当たり前の光景だ。 制作は、基本的には一人の作業だと思う。 それなのに、わざわざアトリエまで出かけてきてくださって、 集まって制作している。どうしてだろうか。 場所がない、時間がなかなか作れない、など理由は沢山あるだろうけれど、 きっと、一 …

098. 制作ではないけれど

5月後半に、横浜にあるこどもの国、という大きな公園でドロケイ大会をしてきた。 ドロケイ大会は2回目だ。 今回は小中高生を中心に10人ほどが集まった。 大人の参加ももちろんあった。 違った色のタオルを身につける事でチーム分けをして、 ドロケイを数ゲームと、だるまさんころんだを2ゲームほどやった。 タオルはたくさん同じ色のものがある、アトリエのトイレ用タオルを使った。 もちろん洗ってあって、これから使 …

097. 朝活

深谷さんはアトリエの土曜日にいらしてくださっているスタッフさんだ。 専門は木工だが、大学は彫刻科を出ている。 スタッフさん、なんていうと偉そうで、ほんとうは、アトリエが 全然形になってない時からいらしてくださっている大恩人だ。 わたしがアトリエの準備のために一軒家を借りて、内装をひとりで整えていたころ、 深谷さんは学生さんだった。 借りたばかりの時のアトリエは床はむき出しで庭も草ぼうぼうで、荒れ放 …

096. 日比谷3月11日

もう10日以上経ってしまったが、地震からまるまる2年が過ぎた。 用事があったので、日比谷の追悼イベントに出かけてきた。 当日に近くなるとテレビで特集が組まれたりして、 ああそうだ2年経ったなあと思った。   いきなり店頭から色々なものが消えた、ということが印象に残っている人、 とりあえず帰れなかったりして困ったんだよなあ、と思い出す人、 親類縁者が地震が起きたところにいて、もう気が気でな …

095. 知識人

先日、アトリエの方と中華街でおかゆを食べに行った。 アトリエの大人の方はこうやって、比較的よく一緒に遊びに行ったりする。 今回は、土曜日にいらしている大人の生徒さん、松田さんと大野さん、土曜日スタッフの深谷さん、 私のあわせて4人での中華街ぶらぶら歩きだ。 食後に中華街を歩き回ったら少し寒くなったので、お茶を飲もうとギリシャ料理のお店に入って、 あたたかい飲み物を頼んだ。 土曜日スタッフの深谷さん …

094. 着付けの病

小さい頃から祖母はあこがれの人だった。 夏休みと冬休みは祖母の住む新潟で過ごすのが小学生の時の習慣で、 祖母と叔父叔母夫婦、従姉妹たちと合宿のような生活をしていた。 祖母はお茶の先生をしていて、訪ねて行った初日は皆にお茶をふるまってくれる。 にがい抹茶はわりあい好きだったが、長時間の正座と 古くなりすぎているお菓子がたまに出ることが悩みの種だった。 腐ったういろうがお茶菓子に出たときがあって、私は …

093. 大掃除

毎年、アトリエは12月第3週くらいには年内の最終開講日を終える。 そのあとは、クラスの枠を外した クリスマスのワークショップで締め、というのが例年のスタイルだ。 ちょっと早めに最終開講日を設定しているので、そのあとは ゆっくりお休みなんだな。。と思っておられる方も多い。 じつは、スタッフにとってはそれからがその年の仕事の総じまい期間になる。 スタッフだけが集まって、いつもはメンテナンスできない収納 …

092. 雪の日

雪が降った。 朝はみぞれだったものが、みる間にぼた雪になり、 降りしきる雪で窓の外が真っ白になった。 雪国に生まれたからなのだろうか。それとも単に好みだろうか。 雪が降るだけで胸の底がとても落ち着く。 雪かきの大変さや、事故の多さも知っているはずなのに、 やっぱり雪はいいなあ、と思う。 目からも、耳からも、心からも、色々な雑音が消えていって、 静かに一人に慣れる気がする。 親しい人にはより親しい気 …

091. クリスマスワークショップ

毎年、12月の最後のアトリエは、ワークショップをすることにしている。 ここ10年くらいはみんなでクッキーを好きな形に作って焼くワークショップだったが、 今年はクリスマスリースをつくってみた。 通ってこられる人以外にも、おうちの方やお友達も歓迎なので、 毎年とてもにぎやかに制作するのだが、今年は不思議なくらい静かだった。 みなさん、すごく集中して制作していたからだ。 ちびっ子のお父さま、お母さまが通 …

090. 変わり目

秋は忙しい。 暑さが続いて、夏の気分が抜けないまま薄着でいると、 空が夏とはちがった高さになっていて、朝にキンモクセイが香っていたりする。 街にハロウインの飾りを見て、ああ、秋がきたのだなと思っていると、 最近はもう、年賀状やクリスマスケーキのポスターが目立つ。 街やお店のものを見ていると、なんだか 首元を持たれて先へ先へと引きずられて行くみたいだ。 それと反対なのが、 階段に赤くなった柿の葉が落 …

089. 海からの贈り物

むかしの飛行家にリンドバーグというひとがいて、 その奥さんが書いた、「海からの贈り物」という本がある。 内容は、年中いそがしく仕事や家庭のために はたらいている女性が、 ちょっとだけ海にバカンスに出たときの日記のようなものだ。 アトリエの大人のひと、とくに主婦の方の制作を拝見していると、 この本をよく思いだす。 その本には、定期的に、しんとした時間や空間を持つことが、 ふつうの毎日を繰り返すなかで …

088. 虫とバイク

ふだんはいつも、オートバイで移動をしている。 アトリエと自宅の距離は普通に運転して5分程度だろうか。 先日、アトリエに向かう途中で オートバイのハンドルにカマキリの子どもがいることに気がついた。 速度はさして早くなかったが、小さなカマキリ的にはたいへんな暴風だと思う。 身体が大変に斜めになって、足で踏ん張っている。 (落ちてしまうのではないか) と思ったが、運転中に繊細な作業ができるほどの運転技術 …

087. 本当の恋

七夕になると毎年、思い出したように七夕飾りをつくる。 今年は7月7日が土曜日だったので、土曜クラスで七夕飾りを作った。 「おねがいごとをどうぞ」 と言われると、誰もが意外とまじめにお願いごとを考えてしまう。 おもしろいなあと思う。 土曜日にデッサンのレクチャーにきてくれている大学生のオサダくんは、 その飄々とした人柄で皆から好かれるせいか、アトリエの名物人物となっている。 その彼も、短冊を前にしば …

過去の記事(まとめ)

2012/06/07 夜、浅草で蕎麦を食べた。 川向こうにすっくと伸びるスカイツリーを見てあそこ目指して歩いてみようという話になった。 昔、田舎で同じ様に岩山を目指した時は、 てっぺんの崖にセーラー服でよじ登ったり モトクロス場で轢かれそうになったりと散々な目にあったが、 今回は何の困難もなく着いてしまった。なんか残念だ。 2012/03/25 近所の蕎麦屋。 隣に来た父娘の高校生ぐらいの娘さん、 …

086. リニューアル

5月26日に、お休みしていたアトリエの仕事に復帰した。 まるまる2ヶ月以上お休みしたことになる。 もともとは、手術のためにお休みを頂いたのだけれど、 周囲のみなさんやスタッフの理解に支えられて、 手術に必要な時間プラス、たっぷりのお休みの時間をいただくことができた。 本当にありがたいことだよなあ。。と思う。 13年前、サラリーマンをやっている時に「アトリエをやろう」と思ってから、 「こんな場所があ …

085. 炊き込みごはん

デートはいつでも楽しい。 好きな異性とデートするのはもちろん、同性でも日時を決めて、 二人で過ごすのを楽しむのはデートだと思う。 手術のためにお休みして、復帰するまでに何人かの方とデートした。 上野の美術大学の卒業式の日に、大学内に入って散策してみたり、 教授に見とがめられてダッシュで逃げてみたり、 古い日本映画を観たり、 干し芋を食べながら連れ立っていけない映画を観てみたり、 新人落語家の練習寄 …

084. ジェントルマン

ここのところ毎日、電車で都内へでかけている。 朝の通勤ラッシュのピークより少し遅れているのだが まだぎゅうぎゅうに混んでいる時間帯だ。 ふだんはバイクで通勤しているので、新鮮だよなあと思っている。 はじめは混んでいる車内におどろいてしまっていたのだが、 よく見ると、通勤になれている達人組と、わたしのような たまたまこの時間にのりあわせた不慣れ組に はっきり分かれているようだった。 先日、長身のサラ …

083. ご見学

すっかり元気だけれど、手術後にやる治療が終わる5月までは アトリエをお休み、という毎日が続いている。 前のコラムにも書いたけれど、アトリエ自体はばっちり開講している。 ひとえにスタッフの宇都宮氏、深谷氏はじめ、平澤先生、大学生オサダくん、 見えないところでご助力下さっているアトリエの皆さんのおかげだ。 いらした方の制作の様子を毎回書いてスタッフ同士でやりとりする 「連絡帳」は、私がアトリエに居ると …

082. ふつうのひと

手術をすることになって、入院するので 5月までアトリエをお休みさせていただくことにした。 と、いってもアトリエ自体はメインスタッフの宇都宮氏をはじめ 沢山のひとがお手伝いに入ってくださって、つつがなく開講している。 ほんとにありがたいことだなあ。。。。としみじみ思っている。 先日退院して来て、全開で動けるほどではないが休みで暇、という毎日を送っている。 手術したところが落ち着くのを待って、もうちょ …

081. たこやき爆弾

先日、グループ展をした方と打ち上げ会をした。 社会人クラスの女性の高野さんのお家で、たこ焼きパーティーをしたのだ。 メニューが手作りたこ焼きとなめこのみそ汁、と聞くと、地味すぎるかもしれない。 が、変わった具も色々と入れてたこ焼き機でまるいものを 作ったので、味に色々なバリエーションもあり、 何より、皆でちょいちょいひっくり返したり、具を入れたりして手作りするのが楽しかった。 社会人チームは若干お …

080. お手本

アトリエは大人のお手本の宝庫だとよく思う。 ご本人それぞれのペースでものごとを学んでいたり、 自分で自分の道を切り開いてきた方は、 その積み重ねがお人柄に出ていて、ちょっと言葉を交わすだけでも 目にきらりと好奇心やユーモアがよぎる感じがする。 もの静かな方だったり、華やかな雰囲気の方だったり、 現れ方は色々でも、目によぎるものは共通のものがある気がしてならない。 そういうの、素敵だよなーと単純にあ …

079. チーム『ぼくのうち』

編集者さんの内館朋生さんと初めてお会いしたのは 宮帯出版社東京支社のオフィスでだった。 実際の内館さんは、メールから想像していた柔らかい雰囲気よりも きりっとした感じで、やり手、という印象が強かった。 ずっと前に描いたお話を形にしたくて色々試した結果、 自費出版で絵本にする形に落ち着いたのだけれど、 自費出版にしてよかったなあ、というより、 この出版社、この編集者さんに出会えて本当に良かったなあ、 …

078. あのころ

思うところがあって、絵本を出版した。 と、いうと格好がよいのだが、自費での出版だ。 原稿自体は13年前に出来ていた。 ちょうど、アトリエをはじめて間もない頃にこつこつ描いたものだ。 アトリエといっても、自分でアトリエですよーと言っているだけで、 実際はほとんど誰もいらっしゃっていなかったので、暇だったのだろう。 一番描き進んだのは夏だ。 色々な仕事が夏休みに入った1週間の間はほとんど24時間、 ア …

077. 芝浜(しばはま)

昔から落語が好きで、本を集めたり寄席にいったりしていた。 今回は友人が誘ってくれて、立川談春(たちかわだんしゅん)さんの独演会に行って来た。 立川談春師匠は、亡くなった談志師匠の弟子で、 たぶん、いま最も油がのっている噺家さんのひとりだと思う。 演目は「居残り左平次(いのこりさへいじ)」と「芝浜(しばはま)」だった。 「芝浜」は落語の定番とも言えるお話だ。 お酒で身を持ち崩しかけている魚屋さんが、 …

076. 無人販売

神田の古本屋街に行って来た。 本当に古本屋さんばかりなので驚いた。 菌類の本ばかり扱っている本屋さんがあると思えば、 切符しか扱わない古本屋さんもある。 いろんな世界が共存してるところだなーと思った。 年末で人はぼちぼち居るのだが、みんな本を探しているせいか、 人の数に比べると街はひっそりと落ち着いていた。 年末で休業中の本屋さんもちらほらあったけれど、 全体としてはまだ街は働いているぞ!といった …

075. エビで山をつくろう

アトリエはなぜかいつまでたっても貧乏だ。 床は抜けてボコボコだし、手作りのカーテンは風化しすぎて とろろ昆布みたいになっている。 はじめは人が少ないので貧乏なのかなと思っていたのだが、 少し人が集まるようになっても同じなので、最近スタッフ全員で首を傾げている。 おそらく油絵だけのアトリエ、とかではないので材料費がかかりすぎるのだろう。 しかし値上げしすぎると、経済が制作のハードルになってしまうため …

074. メンズ

いつの間にか、クリスマスツリーも街に出てこようかという季節になってしまった。 今年の夏はほとんどコラムの更新をしなかったのだが、 出かけた花火大会で印象深いことがあったため、 コラムだけは書いていた。 いまごろ夏の話だが。。。。。 以下、8月のエピソードだと思って頂ければ幸いです。 ————————&# …

073. 香りの記憶

アトリエにはメインの制作部屋と奥に油絵を描く部屋があるのだけれど、 私は以前、油絵の油の臭いが苦手だった。 同じ絵画でも私の専門は油絵ではなかったため、あまり馴染みがなかったのだ。 ご見学にいらした方のなかには、 「ああ、懐かしいですね、油絵のにおい。。学生の頃を思い出します」とか、 「祖父が油絵を良く描いていたので。。このにおい、なんだか嬉しいですね」 ということをおっしゃる方がいて、個人の香り …

072. グループ展

11月8日から13日まで、アトリエの方と一緒にグループ展をした。 高校3年生1人と、社会人2名、とスタッフ(私)という構成だった。 高校3年生は受験と同時並行だし、社会人組3名は仕事と平行して進めなければ いけない。全員、なかなかエネルギーがいるイベントだったけれど、 やってみて本当によかったなあと思っている。 もちろん軽やかに、マイペースでやったほうがものごとはきっと 長続きするわけだけれど、 …

071. 沈黙

自分の夏休みが始まったばかりの時は、 まだ日常が体から抜けないのと、早くまとめて時間を作りたいのとで あっちこっちと忙しく用事を済ませて回っていた。 概ね気になっていた用事が済んだころ、(一日くらいぶらぶらしてみよう)と 電車にのって、都内をぶらぶらした。 夕方になりお腹がすいたので、下北沢の小さな台湾料理屋に入った。 まだ早い時間だったので、先客は老婦人の二人連れしかお客はいなかった。 私はテイ …

070. 夏休み

今年の夏休みは長かった。 アトリエでの夏休みに加えて、制作のためにもう一週間お休みを頂いたからだ。 私がお休みの間は宇都宮先生と深谷先生が開講してくれた。 何年もまとまって制作する時間はとれていなかったので、思い切って時間をいただいた。 休み中はどこに出かけるという予定も組まないで、 朝起きて、散歩に行って、家事をして制作をする、 といった充実した毎日を過ごした。 私立の学校で授業がある日などは、 …

069. 明治神宮とヨガ

鈴木さんとおっしゃる方が月曜日の大人のクラスにいらしている。 どこかのぼんとした強さのある絵を制作される方だ。 まだアトリエにはいらして間がないのだけれど、 地味にお話がおもしろくて、伺っているとつい引き込まれてしまう。 話術が巧みだ、というわけではない。内容がおもしろいのだ。 先日は、いらっしゃるなり、「昨日は明治神宮でヨガをしてきました」とおっしゃった。 「えっ?神社でヨガですか」 「そう、明 …

068. 北海道

地震があってから4ヶ月以上経つ。 地震直後は、すぐに安否を確かめなければならないひと順に 連絡をしていって、日がどんどん過ぎてしまった。 最近ようやく連絡を伸ばし伸ばしにしていた人とも連絡をとりはじめている。 そのやり取りのなかで、アトリエで物資を募集していたことを友人に話すと、 都心のマンション住まいの彼女は驚いていた。 「えー、物資集まったんだ? こっちは他人どころじゃない人が多かったよ。 実 …

067. 人類は進化している

制作の時間を一緒に過ごしていると、アトリエのちびっ子の皆さんはすごいなあ。。。とよく思う。 「昔はよかった。それに比べて今は。。。」というせりふは良く聞くけれど、 アトリエにいると、人類は確実に進歩している!と思ってしまう。 そう思ってしまう制作をするひとは本当に多いが、えいじくんもその一人だ。 えいじくんは小学2年生の男の子だ。アトリエに通いはじめてからは1年くらい経つ。 えいじくんは、ふだんは …

066. 梅こぶ茶

小学生くらいの頃に、田舎の祖母がたまに昆布茶というものを出してくれた。 オレンジ色の缶に入っていたと思う。 ちょっと化学調味料っぽい味のように思っていた記憶もあるが、 祖母との記憶と一緒になって、特別なときに飲むイメージがあった。 よく、コーンスープやコンソメスープのインスタントがあるけれど、 それの日本バージョンだと思う。 昆布茶にフリーズドライの梅を足したものが 梅昆布茶(梅こぶ茶)だ。 私は …

065. ぼじぼじ

18日の金曜日からアトリエを変則時間で開講している。 金曜日は車で送り迎えのお家や共働きのお家が多かったので、 ひと家族がいらしたのみだった。 とはいえ総数では3名のちびっ子となり、いつもはお話しできないひとと話せたし、 いつもは拝見できない作品をみることができて楽しかった。 土曜日はほぼいつものメンバーがそろって、いつものように制作をした。 アトリエの習慣である、時間はじめのクロッキーも、制作後 …

064. ふつうの毎日

地震があった。 すごく被害をうけたところもあれば、まったく何事もなかったところもあったと思う。 個人的には、阪神大震災のときも、新潟の地震のときも、 親類縁者がその土地に住んでいたので、 地震はぜんぜん人ごとじゃなかった。 そして今回は、すごく大事な友人が被災地中心部にいて、 数日消息がわからなかったので、本当にあせった 。 悲しいというより、もう何ができるのかとか、探すので必死で、 はじめはその …

063. かえるところ

小さい頃に引っ越して住むようになったのは、都内の小さな工場町だった。 町には小学校も中学校もひとつずつしかなかったし、 確か幼稚園や保育園の数も少なかったので、 けっこう大きくなっても、ケンカになると、 保育園時代までさかのぼって言い争ってしまうような土地だった。 そうやって、ケンカしている友達を「いいなあ」と思ってみていたことは よく覚えている。 また他の土地に引っ越すまで、その町には11年近く …

062. 年末年始

アトリエの年末年始のお休みは、たぶん普通よりも長いとおもう。 でも実際はそうでもない。 年末は、最終開講日のクッキー会が終わった後日に 大人クラスの方が集まって、持ち寄りのなべ会をする。 机も全部片付けて、制作部屋を大きな一間にして田舎の島の宴会みたいな雰囲気で過ごしている。 その翌日に、スタッフが出勤して全館を思いっきり大掃除する。 年によってちがうけれど、大抵2~3日はかけると思う。 宴会の後 …

061. 佐吉くんリバイバル

以前アトリエに通ってきていた、さきちくんから電話がきた。 いま通っている学校でポスターの仕事を頼まれ、 アトリエで制作をやりたいとのこと。 さきちくんはアトリエちびっ子部に、一番はじめに来てくれたひとだ。 初めてお会いした時は中学校1年生だったと思う。 6年間アトリエに通って、 引っ越しするのを機にアトリエ卒業となった。 専門学校に通うので、親元を離れて暮らすためだ。 さきちくんは、古株中の古株な …

060. つづく

8月にアトリエに通われている皆さんのグループ展を企画した。 はじめてのグループ展だった。 ふだんアトリエで拝見している作品も、すべての曜日の方が一気に同じ場所に 展示することはないので、楽しかったし勉強にもなった。 ひとくちに「展覧会をやる」と言っても、 決めることややることは思ったよりもずっと沢山あって、 自分の個展とは違うのだなあ。。。と改めて思った。 アトリエ展は終わってまるまる一ヶ月ほど経 …

059. どうでしょう

水曜どうでしょう、という昔の地方番組が大好きだ。 もう何ヶ月も、朝のニュースと水曜どうでしょうのDVDを見るほかはTVをみていないので、 大好きとかをやや通り越してしまっている気もしている。 休日、一人で片付けものをしているときのBGMがわりや、 夫婦で日曜日に夕ご飯を食べるときなどに楽しんでいる。 食事中はTVを見ない約束なので、 夫婦で食事をしながらDVDを見るのはちょっとしたイベントだ。 水 …

058. ひとみしり

アトリエに通っている方は、人見知りさんが多い。 もちろん、すぐに新しい環境や人に打ち解けるひともいるけれど、 リラックスしてしゃべるのに1年近くかかった。。。なんて人もそれほどめずらしくはない。 今では誰も信じてくれないのだが、私は大変な人見知りだった。 そのくせ引越しは多いほうだったので、引越しの度にとても苦労したのを覚えている。 だから人見知りでどきどきしている方やちびっ子をみていると、 「あ …

057. 花火

花火には特別な思い入れがあって、 毎年1回はどこかしらの花火大会に出かけている。 基本的に暑いのも人が多いのもあまり好きではないのだが、花火大会なら話は全然別だ。 大抵昼過ぎあたりから会場には来ていて、場所を吟味したり 飲み物を買ったりして夜を待つ。 花火が視界に入り切らないほどの近距離が理想で、そのためだったら 手間も時間も惜しまない。 つきあわされる夫が大変かわいそうとも言えるのだが、最近は慣 …

056. 隅田川ブルー

アトリエに通われている皆さんの作品展を8月に予定している。 はじめての作品展なのに大きく出てしまい、表参道のギャラリーをかりてしまった。 あと3ヶ月で作品展なので、出品する方も徐々にテンションが上がってきている。 作品も形になりはじめていて、 油彩あり、日本画あり、彫刻あり、アクセサリーありの かなり広範囲のジャンルにわたる作品がならびそうだ。 中学2年生の男の子は、立方体のキャンドルを沢山作って …

055. ふたり

アトリエのちびっ子の時間のはじまりは、いつもにぎやかだ。 やることを決めていてすぐに制作にかかる人、 「なにやろう~」と作品が飾ってある戸棚を覗きこむ人、 道具と材料を置いてあるスペースで、ああでもない、こうでもないと考える人。。。 「こういうのやりたいんだけれど、何使うの?」 「あれはどこ?」「これはどうやるの?」等々の質問も飛び交う。 時には「なにをやりたいかわからない~!」という場合だっても …

054. 写真

アトリエの写真が増えてきたので、年末に整理をすることにした。 来年8月に予定している、アトリエのグループ展に展示する写真を選ぶためだ。 同じ箱の中に、なぜか捨てたと思っていた 昔の写真の残りまで出てきてかなりびっくりした。 その時は気がつかないけれど、楽しかったな、好きだったな、 と時間が経ってからわかるものはあるようで、 ちょっとにやにやしながら整理整頓をした。 すごくばたばたしていたイベントの …

053. 理想のアトリエ

アトリエをはじめる時、漠然とだけれどいらして下さる方は 女性が多くなるのかな、と思っていた。 予想通り、アトリエをはじめてから2、3年は女の子の園、みたいな感じで、 一緒にお茶を飲んだり、気になる本を貸しあったりしていた。 アトリエの年数が重なるにつれて、男子が少しづつ増えて 今では大人クラスもちびっ子クラスも、 アトリエの男女比はほぼ半々、といったところに落ち着いてきている。 不思議なもので、曜 …

052. ゴーヤのその後

ゴーヤの研究をしているというコラムを書いて3ヶ月近くも経ってしまったけれど、 ゴーヤは11月現在、まだしんぼう強く生きている。 最近は涼しいを通り過ぎて、やや寒くなっているくらいなので、 暖かい気候で育つ性質のゴーヤは力を失って、日に日に枯れていくのが分かる。 それでも花が咲いて、実をつけているので、すごい生命力だなあ。。と感心している。 種をとって来年も植えようと思ったので、実をとらずにそのまま …

051. 自由研究

小学生のときは、夏休みの宿題はかなりぎりぎりまでためてしまうほうだった。 夏も終わりになってくると、『休みが終わるなあ』という事よりも、 『宿題終わってない、どうしよう。。。』という事で気分が暗くなっていたものだった。 唯一早く終わっていたのが自由研究だ。 工作や植物の採集、自作の天体観測装置などなど、毎年わくわくしながら取り組んでいた。 大人になって、宿題やテストがなくなったのは嬉しいけれど、 …

050. 手の記憶

月曜日のクラスに、さわこさんという女性がいらしている。 すらりとした姿の、楚々としたひとで、毎週車で通ってこられている。 さわこさんの制作は、アクリルから始まって、 油絵、レリーフ、塑造。。と実に多岐にわたっている。 画材や素材の種類はまちまちだけれど、 どの作品も、すみずみまでぴんと神経が行き渡った感じがして、 ああ、さわこさんの作品だなあ、と思わせる独特の空気がある。 今さわこさんは、ご自宅の …

049. ひろがる

先日、アトリエでコサージュやテキスタイルなど、 乙女な制作をしている方がまとまって、新宿の「クラフトマーケット」という 手作り作品市のようなイベントに参加してきた。 アトリエでは、本当に色々な制作をしている方いらっしゃる。 デッサンや油絵や、日本画などの絵はもちろんだけれど、 粘土で像をつくる彫塑や、木を彫る木彫、アクセサリーや布をつくる人だっている。 スカートを縫う人だっている。 今回はテキスタ …

048. 長者大作戦

アトリエには、わりあい沢山の植物が植わっている。 桜やすみれをはじめ、梅、桃、レンギョウ、キンモクセイ、紫陽花、バラ、 ユキヤナギ、セージにローズマリー、ツツジ、ミント、タイム、シュカイドウ。。。 みんな、季節季節に顔を出してくれるので楽しい。 ちびっ子がよろこぶので、ワイルドストロベリーやグミの木、ポップベリー、 ジューンベリーなど、その場で実をとって食べる事ができる植物も多い。 それぞれ沢山の …

047. さくら

桜が好きだ。 桜の入ったお菓子やまぜごはんを食べるのも好きだし、 咲く前の桜も、満開の時も、散り際だって好きだ。 どうしてこんなに好きなのかはわからない。 小さい頃はそんなに好きだったかなあ、と思う。 住んでいるところの近くに小さな公園には、たくさん桜の樹が植わっている。 今、まさに満開に向けてがんばっている感じだ。 朝にいつもその前を通るのだけれど、 自分も含めて、朝の道を行く人はみんな忙しそう …

046. 高野さん

アトリエに、高野さんという女性がいらしている。 高野さんは忙しいので、毎週はいらっしゃらない。 その分だろうか、いらした際は本当に集中して制作していく。 楽しんでいらしているのがこちらにも伝わるので、 私まで楽しくなってしまう感じだ。 アトリエには、本当にいろいろな制作をする方がいるけれど、 高野さんの制作は魔法っぽくておもしろいなあ、といつも思う。 高野さんにかかると、普段は見過ごしてしまうよう …

045. コードネームはコマツ

昔からの友人がいる。 はじめに働いていた大学で知り合って、よく遊んだ。 遊んでいたといっても、深夜のテレビをずっと見ていたり、 バトミントンをしたりといった感じだ。 仲間うちでよく話題にのぼったのは、 大学の名物先生についてだった。 お笑いのネタのように、あまりにくり返して話題にしすぎたため、 しまいには先生の名前がコードネームのようになってしまった。 相手も自分もコマツと呼ぶし、なんでもコマツで …

044. ジンジャーブレッドラテ

冬がくると、スターバックスのメニューに ジンジャーブレットラテという季節の飲み物が加えられる。 スパイスが入った甘いコーヒーで、私は大好きだ。 クリームの上にかかっているナツメグの香りをかぐと、不思議な気分になる。 ああ、クリスマスが近いなぁと思う。 アトリエをはじめたばかりの頃、 近所のスターバックスに行って、よくその飲み物を飲んでいた。 アトリエははじめたけれど、まだ全然形にならなくて、人もい …

043. ことば

アトリエでは、どなたかの作品が完成するとたいてい、わらわらと周囲の人が集まってくる。 そうして、その場で「ここが好きだなあ」「どうやってつくったの?」等々、 質疑応答会というか、講評会のようなものがはじまることが多い。 お互いに発見したことを教えあったり、本の情報交換になったりもして、 拝見していると楽しくなる。 ちびっ子がかならずやる、制作時間前の人物クロッキーも、 講評会とまではいかないけれど …

042. ドロケイ

ドロケイ、という遊びをご存じだろうか。 「どろぼうと警察」が正式名称らしい。 陣地とり+缶蹴りのような鬼ごっこの類いで、 名前もルールも、その土地土地でちょっとずつ違いがあるみたいだ。 先日、アトリエにいらしている方のお友達が主宰となってくださり、 アトリエの方、そのお友達、そのご家族などなどが 参加して、横浜の青葉区にある、こどもの国でドロケイをしてきた。 アトリエにいらしている大人の方々は、時 …

041. 制作

学校で制作をしていると、 「もっと才能があったらなあ」とか、 「オレ(わたし)って絵の才能がないから。。」などという人がいる。 才能ってなに?とたずねられると、困ってしまう。 でも、ひりひりするような制作をする人がいるのは確かだなあと 思うことはある。 以前通っていた学校に、そういった人がいた。 当時は中学一年生だったのだけれど、 他のひとたちの作品づくりとはまったく違っていて、 課題を通り越して …

040. ピタコラスイッチ

なかよしの二人の男の子がアトリエに来ている。 中学生になってからは、バスケットとサッカーと、と別々に運動部に入って忙しくなったので、 今は不定期にアトリエに通ってきている。 ふたりとも、作品も発言も、とてもおもしろい。 アトリエにはひとりでくるときもあれば、ふたりで来るときもある。 ふたり揃ったときの会話は絶妙だ。 「わかった、いまオレが欲しいのは、お前のぬくもりだったんだ」 「美ってなんだろうと …

039. 家庭の会話

結婚してもうすぐ3年が経つ。 平日は帰ったら眠るのみ、といったペースの生活なので、 ゆっくり会話をするのは日曜日のみだ。 会話をすると、2人とも興味関心が重なっていないため、 別世界をのぞく思いがしておもしろい。 先日は車の話になった。 私は車はわからないので、おもに聞き役となった。 夫もそれほど詳しくはないとのこと。 でも好みはあるようで、その話となった。 20分程話を聞いただろうか。 その流れ …

038. お茶

先日、アトリエでお出しするお茶を買いに出かけて、 新しいお店を見つけた。 お茶が好きなので、色々なところでよく買うのだが、 そのハーブティーのお店ははじめて通りかかった。 チコリやネトル、ジュニパーベリーなど、 色々なハーブが瓶につめられていて棚にならんでいる。 たくさんあるなあ、と思いながら棚の裏側にまわると、 「太陽の贈り物」というネーミングのお茶があった。 隣には「人魚姫の願い」があった。 …

037. 春一番

アトリエの桜のつぼみがふくらみはじめてきた。 雪やなぎはもう満開で、チューリップもつぼみが見えてきている。 クローバーもレンゲも、つぼみが毎日おおきくなっている。 この季節は、街全体がうきうきしているような気がして楽しい。 ひとり暮らしのときは、 咲き始める直前の夜に、あたたかいココアを買って、 近所の公園のベンチで1人お花見をするのが恒例だった。 満開の桜は友だちと楽しみ、 開花直前はひとりで、 …

036. お礼をいいたい

入院をしていた。 アトリエに通われている皆さんや、メンバーの先生方に色々とご迷惑をおかけして、 数週間お休みを頂き、手術をしてきた。 盲腸ではないけれど、盲腸なみに、わりあいよくある婦人科系の手術だった。 おかげさまで成功して、今はすっかり身軽だ。 お休みの間と、かえってきてからはしばらく、ありがたいなあと思うことばかりだった。 アトリエに通われている皆さんには、ご迷惑をおかけしたにもかかわらず、 …

035. ドラマ

高校2年生のひとがデッサンをしに来ている。 アトリエに通いはじめて、1年半くらいだろうか。 はじめはなかなかうまくいかなかった。 そもそも長い間じっと描く、ということが苦手だったくらいだ。 今では、まわりのひとを巻き込んでしまうほどの集中力と熱意で制作をしている。 最近はデッサンだけではなく、人物のクロッキーや、粘土で ひとの頭部をつくったりもしているのだが、とにかくたのしそうだ。 とくに粘土はす …

034. 一杯のお茶

大学に勤めていたころ、大好きな工芸の先生がいて、 何かあるごとに研究室にお邪魔していた。 仕事上で困りきったときや、嬉しいことがあったとき、 プライベート上で悩んでしまっているとき、用事がとくにないときも 柿の種をおみやげに、お邪魔していた。 先生は、オイルサーディンと柿の種とミックスナッツなら受け取るが、 他のもの、たとえばケーキなど持って行っても受け取ってくれない。 だから、いつも「もらってく …

033. 煉獄玉

先日先日アトリエで、とんぼ玉をつくった。 とんぼ玉は、ガラス細工の一種だ。 ガラスの棒をガスバーナーで溶かしてビーズ状にし、表面に模様などを作る。 言葉にするとこんなに簡単なのだが、700度以上の高温のバーナーを 使うため、わりあいに度胸が必要だ。 猛暑のなか、小学生の女の子と高校生の男の子、社会人の男性が制作をした。 アトリエでは誰もとんぼ玉を作った事がなかったので、 まずはメンバーが練習するこ …

032. こがねむし

先日地下鉄にのって都内に出かけた。 お昼頃だったのだが、サラリーマンの人からマダム風の人、大学生風の人まで色々な人がいた。 表参道駅で、2人連れのサラリーマン風の人が乗ってきた。 30代半ばくらいだろうか、2人とも気合いの入ったおしゃれさんだ。 とくに、1人の人は日焼けをしていて、真っ白なシャツの襟を立てている。 整髪料のきいたクルーカットで胸をぐっと張り、 美女とヨットにのっていそうな感じだ。 …

031. 大人の時間

アトリエでの皆さんのやりとりをみていると、興味深いなあといつも思う。 大人のクラスの方は、忙しい方が多いのですれ違いになることも多い。 微妙に重なったりすれ違ったりしている。 皆さん制作が好きなのだろう、気にもせず、アトリエに来て一息いれると すっと各々の制作へはいっていく。 制作中ずっとしーんとして何も話さないかというと、そう言ったわけでもない。 お互いの作品をのぞきあったり、その週にあったこと …

030. 縁側談議

アトリエを始めようとして一番最後にしたことが、物件探しだった。 物件は探しはじめてから3日で決まった。 縁側と庭に一目惚れしてしまい、即決だったのだ。 自分だけでは一軒家を用意する力はなかったので、 友人にお願いをして、3人でシェアをすることで話は落ち着いた。 住んでみると夏は蚊が多いので、縁側を利用する事はできなかった。 冬も寒いのでNGだ。 秋と今頃、5月前後がいちばん、縁側を満喫できる状態に …

029. it’s. magic

以前授業をしていた中学校の生徒さんが、今は高校一年生になっている。 理系に進む人、オーケストラに打ち込むひと、制作街道まっしぐらの人・・・皆それぞれに すすんでいるのだなあと折々会う度に思う。 今回は、そんなご縁が発展して、玉川学園にあるころころ児童館という所で、 彼等のうちの1人がマジックショーをすることになった。 中学生の時から、ちょっとした手品をやってみせてくれていたのは知っていたが、 実際 …

028. 伝染する

アトリエに、デッサンをしにきている女性がいる。 デッサンの基礎を押さえたいという目標設定だ。期間は大学入学まで。 時間がないのでちょっと詰め込み気味だけれど、がんばってもらっている。 彼女は一日に5~7時間近く一つのものに取り組んでいる。 どこかでひっかかっても、自分で納得するところまでは粘りきっている。 大人のクラスの時間にやってきて、描ききれず夕方の低学年のちびっ子が 中心のクラスまでずれ込む …

027. 名前

アルケミスト」という名前は覚えづらいらしい。 領収書の宛名に「アトリエ・アルケミストとお願いします」とお願いして、 一発で書いてもらえたためしはない。 「んっと、アトリエ・・アヌケニスト?アム・・・?」 「・・・ええとですね、歩くのアルケ、霧のミストですね」 「あー、アルクミストね。」 それでは歩いてしまう。 「えーっと、アルクミストじゃないので・・紙ありますか?書きます」 このように大抵は、紙に …

026. BOOKSOUL

小さいころから本が大好きだった。 図書館へ行くだけで大変ゴージャスな気持ちになるし、 ていねいに集めたことがわかる本屋さんの本棚は、側にいるだけで心底ほっとする。 飲酒をあまりしないのでわからないが、たぶんお酒好きの人にとっての お酒のようなものなのではないかと思う。 手元にあると読んでしまうし、常に読みかけがないと落ちつかない。 うっかり旅行で文庫本を忘れると恐怖だ。 都内の移動ならそこらの古本 …

025. ロマンスグレー

最近、見学にいらした方が同じような発言をされる。 「もっと年上で、ロマンスグレーのおじさまが主宰されているのかと思っていました」 私は白髪はまだかろうじてないので、不思議でしかたがない。 ホームページには私の写真も載せてあるのだが、どうもそこは 通過されてしまうらしい。 どうしてなんだろうと、 アトリエにお手伝いにきてくれている二人の先生とも話をしたがわからない。 アトリエをはじめたばかりの頃も同 …

024. ふたりでお茶を

結婚をした。 困るのは、周囲の誰も信じてくれなかったということだ。 無理もない。 仕事(教職)→制作→アトリエの繰り返しばかりで来たものだから、 そのような麗しい話はみじんもなかったからだ。 妻としては、アトリエの生徒さんは先輩が多いし、 アトリエちびっこクラスのお母様がたは当然、大先輩になる。 また、アトリエにいらした当時は幼稚園の先生だった方が 妊婦さんに変化したりと、先輩には事欠かないので、 …

023. 大掃除

昨年末の話だが、とつぜん、昔の書類の大整理をした。 探し物があったか何かがきっかけで整理し始め、止まらなくなってしまったのだ。 普段はしまいこんでほとんど見ない書類、絵などの下書きや手紙類、日用品から服まで、 捨てるものと捨てないものを分け、どんどん整理していった。 中学生や高校生の時に書いた文章や、日記のようなもの、 覚え書きなどが入ったダンボール箱まであった。 箱をあけるのが怖さに整理できず、 …

022. ネタと善意

今アトリエには、善意でお手伝いに来てくれている方が2人いる。 それぞれ曜日は別々で、ほとんど丸一日、皆さんと制作してくれている。 アトリエの「仕事」はじつは意外に細々とした裏方作業が多く、 それぞれがとても地味なものだ。 でも、それがいらして下さっている皆さんが リラックスできたり、制作に取り組みやすい環境に繋がっているので、 のんびりが身上のアトリエといえど、そこは手を抜く事はできない。 なによ …

021. 新海さん

アトリエを始める準備をしていた時 下北沢の本屋さんでアルバイトをしていた。 一年間くらいの間だったと思う。 この時はほかに、学校に通いながら色々なアルバイトをしていたけれど、 私はその本屋さんの仕事が一番好きだった。 本屋さんの店長さんは新海さんという方で、 すごく若く見えた。後で知ったのだが、どうも四十代だったらしい。 新海店長の他は転勤が多いのか、2名前後社員さんが入れ代わりたちかわりつつ、 …

020. G3よ永遠に

昨年9月から、アトリエのパソコンの体調が悪くなった。 大変古い機種なので、老衰だったのではと思う。 アトリエで使っていたパソコンは、マッキントッシュG3(ジースリー)というものだ。 パソコンに明るくない方は、今だ現役で、 スーパーファミコンでゲームをやっていたと思っていただければ 雰囲気がお分かりになるのではと思う。 私はゲームをしたことがほとんどないので、 イメージしづらいが、アトリエにいらして …

019. ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら

古本屋さんで、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」という本を買った。 ティル・オイレンシュピーゲルといういたずら者が、 とんちの効いた悪さの限りをつくして村々を渡り歩くというお話だ。 ティルは、ドイツでは知らない人はないという、昔ながらのお話上の人物とのこと。 日本でいう『きっちょむさん』や『一休さん』のやんちゃ版みたいなものだと思う。 この本は、主人公ティルのいたずらごとにいくつもの …

018. 一歩

アトリエに人が増えてきた。 といっても、マイナーなちびアトリエなので、人数はたかがしれている。 ほんとうにゆっくり時間をかけて、少しづつ増えてきた感じだ。 不思議なのだけれど、アトリエにこられる方には驚くほど共通するものがある。 それは年齢や職業や、性別とは関係がない共通点だ。 見学に来られた方のなかには、半年以上も迷って迷って、ようやくメールしました、 といった方も少なくない。 そうだろうなあ、 …

017. 耳をたたむ

先日恩師の個展に行ってきた。 一年ぶりに恩師に会い、大学時代の友人2人とも会えた。 個展の会場でひとしきり皆の近況報告が終わり、先生の作品も見終えた後、 友人の子育ての話から、なぜか互いの眠るときの姿勢の話になった。 一人の友人は普通に横向きに眠るといい、 私はいつも左足に右足をのせ、足をクロスした状態で眠ってしまうと話した。 最後の友人は次のように言った。 「私は天井とか見てると迫ってきそうでい …

016. 遠いともだち

中学生のひとで、制作が大好きなひとがいる。 こつこつと制作しては美術室にやってきて、作品を見せてくれる。 その人が昼休みに美術室にやってきて、こんな話をしてくれた。 ある作家の作品集を見ていたら、 先日自分が制作した作品と、ほぼ同じものがあった。 自分の作品はまったく自分のアイデアで制作したし、 作品集にあった作品を、過去に見た事もなかった。 それなのに二つの作品は発想も方法もほとんど一緒だった。 …

015. セクシー

久しぶりに休みをとって、伊勢と京都に行って来た。 三重県にある伊勢神宮には、お土産やさんが軒をつらねた横町がある。 新幹線等で販売しているあんこのお餅「赤福」の本店や、伊勢うどんなどの 食べ物のお店もならんでいる。 昼食をとろうと思い飲食店を探したが、 表通りは、舞台セットのようにきれいすぎるお店が立ち並んでいて、どこも気が引けて入れなかった。 そのままぶらついていると、落ちついたたたずまいの、悪 …

014. くせ

ひとと話をしていて、すごく興味を覚えるもののなかに、 個人的なくせの話がある。 「困った時に頭をかく」 「うそをつくとまばたきが増える」 といったような類いの、よくあるくせではない。 もっと個人的な、もののとらえ方の「くせ」の話だ。 ある人と話をしていて、方向をイメージで覚えているという話になった。 その人にとっては、「右側は明るくて、正しい感じ」 「左は暗くて間違った感じ」なのだそうだ。 例えば …

013. 大きくなったら

小学生くらいの頃、「おおきくなったら」と思うことがよくあった。 今は小さくて無理だけれど、大きくなったらきっとできるんだ、 早く大人になりたいなあと思っていた。 一方で、大人になったら何になりたい?という質問は大の苦手だった。 どんなふうになりたいのか漠然としたイメージはあったけれど、 それが具体的にどういった職業になり、 どのような言葉になるのかわからなかったのだ。 「おおきくなったらやってみた …

012. リニューアル

ようやくリニューアルが一段落ついた。 遅かった。半年以上かかってしまった。 専門の方にお願いしたりしなかったり、 アトリエの皆さんに写真を撮らせていただいたり、 そばを食べたり麦茶を飲んだりしてるうちに日が過ぎてしまった。 リニューアルに関しては、大学の先輩である岡本さんに大変にお世話になった。 四方八方どしゃめしゃを乗り切ってリニューアルできたのも、岡本さんのお陰だ。 本当にありがとうございまし …

011. とかげまつり

コロコロ児童館は、去年できたばかりのかわいらしい児童館だ。 アトリエでは、4月からこの児童館で、小学生低学年を中心に月に一度工作講座をしている。 「自由工作」というタイトルで、おおまかなテーマだけ用意して、 あとは何をやっても自由だよ、というスタイルの講座だ。 児童館の地元にある玉川大学の卒業生の方に先生役をお願いし、にぎやかに進めている。 第一回目のテーマは「春」だった。 模造紙いっぱいの大きさ …

010. 家族

大学時代の恩師の個展に行ってきた。 大学時代の友人ご夫婦と、1歳になるお嬢さんと一緒に絵をみた。 友人夫婦は高校生からの付き合いで結婚したカップルだ。 お茶を飲みながら、お嬢さんのことを世話する二人をみて、ああ、二人は家族になったのだ・・と感動した。 家族というと私は、自分の家族の他にいつも思い出すメンバーがいる。 サラリーマンを辞める前後によく一緒に過ごした。一時期は共同生活に近かったんじゃない …

009. アクセス・・

アトリエはアクセスが悪い。 アトリエと事務所が離れているのがこまる。 電話の音がきこえてアトリエからダッシュしても、受話器を手にするあたりで大体が切られてしまう。 リビングに居た時などは、部屋とアトリエとの距離がありすぎて、電話の音自体が聞こえない。 それなら、と事務所にかかった電話が携帯電話に転送されるようにしてみた。 すると、ファックスを送りたい人まで携帯につながり、ファックスできない!と怒ら …

008. アトリエにくるひと

武者小路実篤の小説に、「真理先生」っていう作品があるのだけれど、私はけっこう好きな話だ。 へんてこな先生と、そのまわりの人々との会話が中心のお話だ。 その先生がこんなことを言う。 「歯医者には歯のわるいひとがあつまり、目医者には目の悪い人が集まる。 物質的に得をしたいひとは得のできる処に集まる。 私の処にくる人は私と話すことで心が嬉しくなる人だけががあつまる。 そのほかのひとにとっては私はゼロよう …

007. 昼休み

中学生の皆さんと制作をしている。学校の授業は、沢山のひとと会えるからいいよなと思う。 50分の授業で、10分休み。10分の間にめまぐるしく人が入れ替わる。40人が、4回。160人との制作だ。 お昼の時間はお昼は食べない。おにぎりをかじる程度で済ます。 あとは美術室にいて、ごみだらけで阿鼻叫喚状態の床をはき掃除したり、 時間外にやってきた学生さんとおしゃべりしている。 なにかをつくったりするのに、5 …

006. オシャレの限界

同居人が高知に行き、お土産にいもけんぴを買ってきてくれた。 いもけんぴは、さつまいもでできた甘い揚げ菓子だ。 同居人いわく、「これを見たとき、おみやげはこれしかないと思った」とのこと。 私が、楽しいデザインのものに弱いのを知っていたので、買ってきてくれたのだろう。 袋に、白い筆文字でさらりと「いもけんぴ」。そのわきに、河童に似た生き物が 中腰で芋をひきずっている。 顔は昔の少女雑誌の挿絵のような真 …

005. 出会う

大人と子どもってなにが違うのだろうとよく考える。 生きている年数が違う。体の大きさが違う。社会的に、扶養する側と扶養される側。 違いは数えあげればきりがない。 でもやっぱり、「なにがちがうのだろう」と考えてしまう。 小学生や、中学生、あるいは大人など、様々な年頃のひとの作品をみていると、 どうしても考えてしまうのだ。 画面にあらわれる、響きのある色、激しさ、調和、不安、イメージ・・・。 手法になれ …

004. アクアフレッシュ

郵便ポストが不思議だと思っていた。なぜ手紙が重なりすぎて曲がったりしないのだろう。 私はよく、大事な書類を折ったり曲げたりしてひんしゅくをかうので、 沢山かさなった紙類が曲がらないのが不思議でしかたがない。 割合に、新しい友人が出来るたびに聞いたりしているのだが、しくみを教えてもらえたことはまだない。 アクアフレッシュも、しぼってもしぼっても、どうしてストライプなのか不思議だった。 あまりに不思議 …

003. 妄想癖

家族の者からいつも、「あんたは小さいころからちょっとだけ地面から浮いていた」 と言われていた。 ほんとうに浮いてたわけではないけれど、 きっといつも、どこか地に足がついてないというか、うわのそらだったのだろう。 小学生の頃は、夜、タオルケットにくるまって、 小人がタオルの洞窟に住んでいる話をつくって連日連夜興奮していたし、 飼っていた鳥とは、努力すれば話せるようになるんじゃないかと真剣に考えていた …

002. 斎木君

斎木君は、アトリエを手伝ってくれている男の子だ。 今年の12月には、アトリエのメンバーになる。 斎木君と会ったのは電車の中だ。気がついたのはいっしょにいた山崎さんのほうだった。 彼は私が勤めていた大学の卒業生だったのだが、私は忘れていた。 同居人の山崎さんは、同じ学科に勤める先輩だった。 彼女は記憶力がとてもいいので、斎木くんを覚えていたのだ。 「最近どうしてる?」と聞くと、服の学校にいっています …

001. 変わる

ヴィレッジヴァンガード、という本屋が大好きだ。 今は、全国に100ケ所以上あるけれど、初めて出会った時は本当に衝撃だった。 薄暗い店内には、マンガ、サブカルチャーもの、 古今東西の名著と呼ばれるもの、CD、グッズからお菓子にいたるまでがぎっちり つまっていて、まさにおもちゃ箱をひっくりかえしたみたいな世界がそこにあった。 ガジェット、という言葉がある。 「いらないもの、むだなもの」という意味なんだ …